動画制作を考えたときに、まず必要となるのは企画書作成です。
しかし、動画作成の経験が浅いうちは、企画書に書くべき内容や書き込み方などで迷うことが多いでしょう。
動画作成の目的やターゲット層を具体的に企画書に落とし込まなければ、効果的な動画の作成が困難になります。
そこで、この記事では企画書が必要とされる理由を解説するとともに、企画書作成にあたってのポイントも紹介します。
企画書の作成段階で迷われている方は、ぜひ参考にしてください。
動画制作の企画書とは
動画制作において企画書の作成は欠かせないステップです。企画書とはその動画制作が何を目的とするのか、どのような方向性で制作するのかをまとめたもので、いわば動画の設計図のようなものといえます。
動画制作に関わるすべてのメンバーがその動画の概要や制作の目的を共有・検討できるように、わかりやすくまとめて提案することが必須です。
そのために作成するものが企画書であり、自分が考える動画制作についてのアイデアやビジョンを、誰が見ても理解できるようにまとめることが求められます。
動画制作の企画書の作り方
動画制作のための企画書は、以下のような工程を踏んで作成します。
目的と課題を明確にする
まず、動画を制作する目的と、動画制作によって解決すべき課題を明らかにしましょう。
ビジネスにおいてどのような課題が存在し、それをどのように解決するための動画を作るのかを明らかにしなければ、動画の方向性がぼやけてしまいます。
まず問題となる課題と、その課題を作成した動画がどのように解決できるのかを明文化します。
例えば商品紹介の動画であれば、商品紹介をほかの手段でなく動画で行うことの効果や、視聴者にどのような行動をしてもらいたいのかを明らかにしなければなりません。
商品の知名度をあげたいのか、購入につなげたいのかでは動画の内容が大きく異なるからです。
企画書で動画制作の目的と方向性を明確にすると、訴求度の高い動画が制作できます。
ターゲットとターゲットの悩みを明確にする
視聴者に与える影響を大きくするためには、動画のターゲットを明確にすることが大切です。年齢・性別・職業・趣味などが異なれば、メッセージの表現方法も変わります。
例えば10代の女性に訴求する動画のタイプと、60代の男性に訴求する表現は別物でしょう。
誰に動画を見てほしいかを明確にすることは、その後の動画制作の大前提になる大切な工程です。
ターゲットをよりはっきりとさせる手法にペルソナを設定する方法があります。ペルソナとはより具体的な情報を想定したユーザー像です。
実際にそのような方がいるとイメージできるような擬態的な人物像を設定するもので、年齢・居住地・学歴・職業・性格・特技などから家族構成・年収・趣味などまで必要に応じて細かく決めていきます。
ペルソナを細かく設定するとターゲットが狭まるように感じるかもしれません。しかしその反対で、ある一人のニーズを十分に満たす商品やサービスを開発することが、多くのユーザーの満足度を高めることに直結するのです。
ペルソナを設定すると作り手の視点からユーザー視点に切り替えることが容易になり、より強く訴えかける動画を制作できるようになります。
また、動画を視聴してもらうことにより、誰のどのような悩みを解決したいかのあぶり出しが可能です。視聴者の悩みの解決が、動画を見た後のアクションにつながります。
詳細に作り込まれたペルソナからは、ペルソナの悩み・要望・ニーズを読み取ることができます。その悩みを解決する方法を提示する動画が、視聴者を引き付け、次の行動を促すでしょう。
商品やサービスの強みを明確にさせる
動画で強調するべき、自社の商品やサービスの強みを明らかにして動画に盛り込むようにしましょう。自社の強みをつかむためには4つの方法があります。
・お客様の声を聞く
1つ目はお客様の声を聞く方法です。これには直接と間接の2つのやり方があります。
直接的に顧客の声を聞く手段はアンケートやインタビューです。アンケートは大量の情報を1度に集められますが、質問の作り方に注意しなければ結果が偏ったり表面的な返答しか得られなかったりするリスクがあります。
インタビューは双方向のコミュニケーションなのでより深く掘った意見が聞けますが、人間は相手の望む返答をしようとする傾向にあるため、商品やサービスに対する厳しい意見は聞きづらいかもしれません。
・従業員へのヒアリング
2つ目は従業員へのヒアリングです。実際に業務に携わる社内のスタッフが自社の強みをどう考えているのかを集めることで貴重な気付きを得られる可能性があります。
この場合は匿名性を保証するなど、回答者が自由に意見を述べられるよう配慮する必要があるでしょう。
・競合他社との比較
3つ目は競合他社との比較です。自社がどれだけ優れた商品やサービスを提供していても、他社がそれを上回ってしまえば顧客からの支持は得にくくなります。
自社が他社とどのような点で異なっているのか、より優れている点はどこかを明確にすると、自社独自の強みをつかむことができます。
・市場全体を俯瞰する
4つ目は>市場全体を俯瞰することです。自社の商品やサービスが市場のなかでどのポジションにいるか、どのような強みが求められているのかを分析しましょう。
市場のトレンドやニーズは常に変化しているので、定期的に把握しなおすことが大切です。
伝えたいメッセージを明確にする
動画で伝えたいメッセージはたくさん思い浮かびがちで、つい多くを盛り込みたくなるものです。その中から重要なメッセージを1つに絞りましょう。
メッセージが多すぎると、動画で伝えたいポイントが曖昧になってしまいます。
メッセージが絞れないときは動画制作で解決したかった課題や制作の目的に再度照らしあわせると、1つに決めやすくなります。
配信媒体と動画の長さを決定する
配信する媒体をターゲットペルソナにしたがって決定しましょう。
媒体としてインターネットの動画やテレビなどが考えられます。若者向けであればスマートフォンで再生される比率が高く、シニア向けであればテレビの方がより目に付きやすいでしょう。
スマートフォンであればYouTubeやTikTokなど複数の媒体が存在します。動画の配信媒体は多様化しているので、どれを選ぶかよく考えなければなりません。
動画の長さも企画書の段階で決めておきます。30秒以内・1分程度・3分以上など動画の長さもさまざまですが、長さによって予算や構成・コンテンツの量が大きく変わります。
短い動画はコンテンツ量は減りますが最後まで見てもらえる確率が高いです。
一方、長い動画は伝えたい内容を多く盛り込めますが、完全視聴率は下がりがちになります。予算に応じた長さに設定しましょう。
あるいは予算から逆算して長さを決定することもできるでしょう。動画には実写動画とアニメーション動画があります。目的と照らし合わせてどちらを選ぶのかも判断しましょう。
ストーリーボードの作成
ストーリーボードとはいわば映像制作における視覚的な台本です。
一連の映像作品の1シーンを描いた絵コマによって構成されます。これにより、映像の流れ・カメラアングル・キャラクターの動き・場面転換などが具体的に示されます。
ストーリーボードを作ると、動画のコンセプトとストーリー構造を明らかにすることが可能です。
また撮影スケジュールや予算配分ができるようになりますし、アイデアの可視化により制作チーム内でのコミュニケーションに大いに役立ちます。
企画書段階でストーリーボードを提出すると、早い段階での修正とフィードバックが容易になるでしょう。
同様の言葉に絵コンテがあります。絵コンテは監督や演出家が実際の映像の画面やカット割り・セリフ・演技・状況などを1カットずつ描き込んだものです。
絵コンテでは動画全体の構成やグラフィックで何を見せるかを視覚化します。
それに対し、ストーリーボードではセリフやカット割りに加え、カメラワークや照明などより詳細な情報を描き込んでいきます。
ストーリーボードは前後とのつなぎ方やカメラワーク・視線誘導・アングルなどより細かな情報を設計していくものです。
ストーリーボードを作るときには、6W1Hを意識して動画構成を考えるとよいでしょう。
予算と制作スケジュールの決定
企画書には大まかな予算と制作スケジュールも記入しましょう。
予算は大きく企画費・撮影費・編集費に分けられます。
企画費には企画提案書の作成・動画の全体像の提案・撮影場所の選定・シナリオの作成・動画素材の書面化・進捗管理やスケジュール調整・打ち合わせ対応などの費用などが含まれます。
撮影費はキャスト・カメラマン・照明音響スタッフ・カメラ・照明・ドローン・ロケハン費用・スタジオ費用のことです。遠方で撮影すれば、スタッフの旅費や機材の運搬費もかかるでしょう。
編集費は動画のトリミングや色彩の調整・グラフィックやCGなどの制作費・ナレーションの人件費やスタジオ料金・DVDやブルーレイなどの物理メディアの作製費などです。
一般的な動画制作期間は1〜3ヶ月です。プランニングに3週間・撮影に1週間・編集に3週間程度が目安でしょう。
途中社内のフィードバック会議が延期になるなど想定外の時間が必要になるケースもありますので、スケジュールは余裕をもって立てるようおすすめします。
動画制作を成功させるには、明確な予算管理とスケジュール調整が欠かせません。しかし、初めての動画制作では、細かい項目の洗い出しや進行管理の難しさに戸惑うことも多いでしょう。
Funusualは、これまでの豊富な経験と実績を活かし、動画制作に必要な企画費・撮影費・編集費など細かな予算項目を的確に把握し、効率的なスケジュール設計をサポートいたします。
制作期間が1〜3ヶ月と限られている場合でも、プロフェッショナルなチームが迅速かつスムーズに対応し、納得のいくクオリティの動画をお届けします。
動画制作に企画書が必要な理由
動画制作における企画書の必要性を以下で詳しく解説します。
動画の制作依頼者と制作者で目的を共有するため
動画の制作依頼者の意図や目的を明らかにし言語化または視覚化することで、実際の制作者に的確に目的が伝わります。
これにより依頼者のビジョンに沿った動画の作成がより確実になるでしょう。
動画制作の工数を把握するため
企画書を作ることで、動画制作に必要な作業工数を事前に見積もることができるようになります。
企画書に示された制作の大まかな規模感に応じて作業工数を割り出します。それをもとにすれば必要とされる人員やリソースの想定が可能です。
スムーズに撮影と編集を行うため
企画書をもとにして必要な素材やシーン・撮影場所・撮影日程の計画が立てられます。また編集スケジュールも事前に見積もれるでしょう。
素材や人員・リソースの準備や進行を無駄なくスムーズに行えるようになります。
ターゲットを明確にするため
企画書では始めに動画のターゲットを設定します。ターゲットの設定は動画の成功に欠かせない要素です。
誰に何をどのように伝える動画なのかを明らかにしておかないと、誰にも届かない動画ができてしまいます。
企画書で動画のターゲットを制作スタッフに共有することで、意図のはっきりとした動画を制作できます。
トラブルを未然に防ぐため
動画制作にまつわるトラブルには、成果物に対するもの・修正に対するもの・納期に対するものが少なくありません。
しかし、これらのトラブルは企画書を作ることにより未然に防ぐことができます。
成果物が最初のイメージと著しく異なっていた場合にそれを受け取るか拒絶するかでトラブルとなりますが、企画書で仕様を明確にしておけば、想定と大きく外れた動画ができあがる可能性は低いでしょう。
また、仕様に合った成果物であれば修正は発生せず、修正に関する追加料金をめぐってトラブルになることもないはずです。
あらかじめ企画書でスケジュールを提示しておけば納期遅れに関するトラブルも防ぎやすくなりますし、納期が厳しくなれば早めの調整で合意もできるでしょう。
よい動画制作の企画書のポイント
動画制作のためによりよく機能する企画書とは、次のようなものです。
動画制作の目的が明確になっている
動画制作の目的・狙いなどが明確にされている企画書は、動画の内容や表現方法の決定に大いに貢献します。
方向性がはっきりしている企画書があれば、すべての工程においてスタッフの考え方や動き方をシンプルかつスムーズにするでしょう。
伝えたいメッセージが一つに絞られている
伝えたいメッセージが盛り込まれすぎている企画書では、動画の狙いが定まらず、現場に迷いや混乱が生じます。
制作された動画の効果をより高めるために、企画書ではメッセージを1つに絞ることが求められます。
動画を制作した後をイメージする
動画を制作した後を想像することで、どのような動画を作りどの媒体で配信すべきかが明らかになるでしょう。
この動画の配信で起こる具体的な成果を想定すると、作るべき動画の内容がはっきりとします。
動画を見た後で商品やサービスの購入につながるのか、企業の認知度が上がるのかをイメージしましょう。
目標から逆算してイメージを作ることもできます。どの商品やサービスの売上をどのくらいのばしたいのか、採用活動なら何人の応募が欲しいのかを想定すると、動画の活用方法決定の足がかりになります。
成果を最大化するためには、動画の目的を明確にし、ターゲットや配信媒体に合わせた戦略を立てることが欠かせません。
Funusualは、視聴者の心をつかむ動画制作を得意としています。これにより、ブランド価値を高めるだけでなく、具体的な成果を出す動画プロジェクトを実現します。
企画書を作成するメリット
企画書を作成するメリットは以下のようなものです。
- 動画制作の目的を明らかにし共有することで効果の高い動画が作成できる
- 制作工数の事前の把握で実際の制作工程を無駄なく効率的に行うことができる
- 動画制作にまつわるトラブルを事前に防ぐことができる
企画書なしで動画の制作を始めると、目的や方向性が曖昧になり、無駄なやり直しや作り直しが生じかねません。
人員やリソースも的確に配置できないでしょう。企画書の作成により、狙いの定まった動画を効率的に制作することができます。
企画書作成の注意点
よりよい企画書を作成するために、次のような点に注意しましょう。
簡潔でわかりやすく書く
企画書は、動画制作に携わるすべてのスタッフと動画の目的やビジョンを共有するためのものです。そのため、読み手に伝わりやすい簡潔でわかりやすい企画書を心がけましょう。
企画書のボリュームが大きくなりすぎると、読み手にも負担を強いますし、伝えたいことが伝わりにくくなります。
動画の目的や課題の提示・ターゲット・動画のコンセプトなど、明確かつ簡潔に表しましょう。数字を多く盛り込むのも、読み手の理解を助けます。
ターゲットを具体的に設定する
企画書ではターゲットはより具体的に設定しましょう。ペルソナにまで落とし込むとより効果的です。
ターゲット設定を新規顧客のみに留めてしまうこともありがちですが、これでは大まかすぎて訴求ポイントや向いている配信媒体・伝えたい内容の表現方法が定まりません。
例えば30代女性といっても独身のOLか子どものいる主婦かでアピールするポイントは異なるでしょう。
ペルソナは細かく設定する程戦略を立てやすくなります。年齢・性別・職業・住んでいる場所・家族構成・年収などまでできるだけ項目を増やし、実在の人物のようにまで作りあげるとよいでしょう。
企画書は外注可能か
動画制作は企画書から外注することもできます。企画書を外注すれば、プロが作成した高品質な企画書が手に入るでしょう。
デメリットは費用が発生することです。
また、制作する動画に対するビジョンやイメージがうまく伝わらない場合には希望どおりの企画書が仕上がってこない可能性もあります。
企画書を外注する際には、外注先の担当者とよくコミュニケーションと取り、動画に対するイメージをすりあわせることが大切です。
外注するからといってすべて丸投げにするのではなく、どのような動画にしたいのか明確なイメージを作って伝えましょう。
また、外注先が動画の目的と相性がよいのか、実績はあるのかも確認しておくのが重要です。
例えば、ほんわりしたイメージの動画を発注した先がスタイリッシュな動画制作を得意としていた、などのケースが発生するかもしれません。
事前に外注先の公式サイトなどで、外注先の得意分野や実際の作品を見ておくとイメージがつかみやすくなります。
詳細な企画書がなくても高品質な動画を制作するには
詳細な企画書を用意しなくても高品質な動画を制作するには、ハイスキルな動画制作技術を持つだけでなく、マーケティングパートナーともなりうる動画制作会社に依頼をするとよいでしょう。
そうした会社はクライアントとのヒアリングを通じて、その会社の強みと課題を発見し、制作する動画の方向性についてアドバイスをしながらクオリティの高い企画書を作成してくれます。
そのうえでイメージに沿った効果的な動画をプロのスキルとセンスで作成し提供してくれるでしょう。
Funusualでは、丁寧なヒアリングを通じてクライアント様の意図や要望を深く理解し、それをわかりやすく、視覚的に魅力的な形で具現化することを得意としています。「なんとなくこうしたい」という曖昧な要望にも柔軟に対応し、プロの視点から適切なイメージを具体化いたします。
「伝えたいことが多すぎて整理できない」「専門的な内容をわかりやすく表現したい」という方は、ぜひ一度ご相談ください。