動画は、視覚と音声の素材を組み合わせてストーリーやメッセージを伝える重要なツールです。なかでも絵コンテは、動画制作の初期段階で作成される設計図のような存在です。
この記事を読んでいる方は、絵コンテの存在は知っていてもなぜ必要なのか、どう作ればよいのかわからず不安に感じている方も多いのではないでしょうか。
また、制作チームや外注先とどのように認識を共有すればよいか悩むケースもあるでしょう。
絵コンテは、動画の完成度や制作の効率化を図るために欠かせない重要な工程です。
この記事では、絵コンテの基本知識から作成手順、注意点までを詳しく説明します。最後までご覧いただき、絵コンテ作成の参考にしていただければ幸いです。
動画の絵コンテとは
コンテとは、動画制作前の段階で作成される設計図や指示書のような役割を果たす資料です。特に、イラストに説明文を加えて構成されたものが絵コンテと呼ばれます。
絵コンテは主に情報を絵で伝える役割があり、その点で台本とは異なります。
絵を書くことによってイメージを視覚化して他者と共有し、認識の違いによる手戻りを防止できることがメリットです。
絵コンテには、出演者の動きや背景、セリフやナレーション、カメラアングルなどが細かく記載されています。
また、各カットのレイアウトに加え、ト書きや必要な効果音、BGMの指定なども含まれるのが特徴です。
それぞれのカットには必要な秒数まで明記されており、動画全体の長さを適切に管理できます。
絵コンテは制作側の意向によって異なり、ラフなスケッチから精密に描かれた図まで多岐にわたります。
特に複雑なVFXやアニメーションなどの映像制作では、絵コンテの精度が作品のクオリティに大きな影響を与えるので、絵コンテの作成は重要です。
動画の絵コンテを作成する目的
動画の絵コンテは、動きだけでなく効果音や音楽の設計にも関わり、作品全体のクオリティを左右する重要な工程です。
イラストやセリフなどを適切に記載することが重要ですが、それはどのような目的で行われるのでしょうか。ここでは、絵コンテを作成する目的を具体的に解説します。
動画のイメージを明確にするため
絵コンテは、制作会社が考える動画のイメージを明確にするために作られます。
担当者は、動画の構成や撮影シーン、アニメーションの動きだけでなく、撮影場所や機材、効果音やBGMの音量まで事前に考えなくてはいけません。
これらの設計を他者にも共有できるように視覚化したものが絵コンテです。
頭の中のイメージを具体的に可視化することで、動画の方向性や全体像が明確になり、制作過程でイメージがぶれることを防げます。
制作しようとしている動画内容を共有するため
絵コンテ作成は、動画の内容を関係者と共有するのも目的の一つです。チームで動画作成しようとすると、メンバー間で認識のずれが生じる可能性があります。
認識のずれは、本来の内容から逸脱する原因となり、手戻りのリスクを高めます。
手戻りを防ぐには、動画制作前に全員で方向性を共有することが重要です。共有方法として活用されるのが絵コンテです。
絵コンテを作成すれば、動画制作者だけでなくクライアントとも情報共有できます。絵コンテを有効に使うことで、意見の相違や誤解を防ぐことが可能です。
また、事前に詳細を計画、共有しておけば、撮影や動画の制作時間やコストを削減できます。
無駄な撮影や編集などの工程を減らし、全体の制作スケジュールを効率的に管理できます。
絵コンテを書く前に準備すること
絵コンテの作成は、イメージを具体化し関係者で共有できるもので、認識のずれを防ぐ重要な工程です。
質の高い動画をより効率的に制作するためには、目的の明確化だけでなく、事前準備が必要になります。
絵コンテを作成する前にどのような準備が必要か具体的に確認しましょう。
動画の目的を明確にする
動画を制作するうえで大切なのは、動画の目的を明確に定めることです。
目的を明確にすると動画の方向性を決定でき、制作過程での認識を共有することが可能です。
動画制作の目的は企業によって異なり、それぞれの目的にあわせて動画構成を柔軟に変更する必要があります。
例えば、商品やサービスを広く認知させたいという目的があれば、アニメーションを使用すると機能や特徴について視聴者は理解しやすくなるでしょう。
企業のブランディングが目的であれば、ストーリー仕立てにすることで印象に残りやすい構成にできます。
ターゲットを明確にする
動画を視聴して欲しいターゲットを明確にすることも重要です。
ターゲットを決めないまま制作を進めてしまうと、内容が曖昧になり低品質な動画になる可能性があります。
ターゲットを明確にすることで、伝えたい内容や演出方法、登場人物の特徴などを具体的にイメージできます。
動画を視聴した後で視聴者にどのような行動を促したいかを考慮しながら、絵コンテを作成することが重要です。
例えば視聴者は30代の女性で、勤めている会社の化粧品をより魅力的に伝えるために動画をうまく利用できないか考えている、と設定します。
家族構成や勤務先の状況、興味や関心などを具体的に想定することで、ターゲット像をさらに明確化できます。
これにより内容を明確に表現できるようになり、メッセージ性の強い動画を作成することが可能です。
インパクトのあるメッセージを決める
動画で伝えるメッセージは、視聴者の記憶に残るインパクトある内容であることが重要です。
まずは、自社や自社商品が競合企業よりも優位に立てるアピールポイントを洗い出します。
洗い出したポイントを、設定した動画の目的やターゲットと照らし合わせ、重要度の高いメッセージを選定します。
優先順位を決めて考えると、より印象深いメッセージを設定できるでしょう。
配信媒体を決める
目的やターゲット、メッセージを決定したら、次は配信媒体を決めていきます。
広告やSNS、ホームページなどさまざまな媒体がありますが、前もって適切な媒体を選択しておくことが重要です。選択する基準は以下の3つです。
- 視聴者に好まれる動画のスタイルや尺(長さ)
- 配信先に適した縦横比や解像度
- 到達可能なターゲット層の特性
動画の目的や自社商品、サービスに適したターゲットにあわせて媒体を選ぶ必要があります。
例えば、サービスや企業の認知、信頼度を積極的にあげていきたいときは幅広い世代に利用されているYouTubeの活用が効果的です。
商品への親近感を促すために、Instagramのストーリーズ機能を使ってターゲット別に配信する方法もあります。
経営者層に配信したいときは、ビジネス用途で使用する方が多く見られるFacebookの動画広告が適切です。
台本を用意する
セリフやナレーションがある場合は、動画の全体を把握するために台本の作成は欠かせません。
台本作成の前に絵コンテを書くと、セリフや演出が一致しない部分が生じて再度作り直す可能性があるため、注意しなくてはいけません。
台本は映像の流れをスムーズにする役割があるほか、絵コンテの構成に直接影響を与えます。
伝えたいメッセージを反映した台本を用意することで、動画全体の構成が明確になります。メッセージが適切に反映されているか確認し、必要に応じて修正することも重要です。
また、起承転結などの構成フレームワークを活用すると台本を効率的に作成できます。フレームワークは構成をわかりやすく整理するのに有効です。
絵コンテの書き方
絵コンテ作成の準備を十分整えた後は、実際に書き始めましょう。注意点を事前に把握しておくことで、作業をスムーズに進められます。
編集作業まで見据えて、絵コンテの作業は的確かつ効率的に進めることが重要です。そのためには、絵コンテの書き方と注意点を事前に理解しておく必要があります。
ここでは、絵コンテの書き方を具体的に解説します。
フォーマットを準備する
まず始めに行うのが、自社で制作する動画に適しているフォーマットの準備です。
動画を投稿する媒体ごとに画面の縦横比が異なるので、それに規定された枠を用意します。
絵コンテは専用の用紙に手書きする方法もありますが、エクセルや絵コンテ制作ツールを利用すると効率的に作業できます。
近年では無料でテンプレートを提供するサイトも多く、用途に合ったツールを活用するのがおすすめです。
カット割りを決める
カット割りは動画全体の流れが決まった後に、台本をもとにして、場面転換やナレーションの内容にそってアングルや構図を設定する作業です。
映像の雰囲気やカメラの位置、登場人物の動きを具体的に決定します。
動画全体を通して、内容が正確に伝わる構成となっているか、目的に合った印象を与えているか確認しましょう。
カット割りはできるだけ細かく設定することで、動画のリズムや動きをより計画的に設計できます。
1カットが長すぎると間延びした動画になって、視聴者が途中で離脱する原因となります。1カットの長さは、3~5秒を目安に設定するのが効果的です。
動画全体の長さが決まっている場合は、それに応じて1カットの長さを調節しましょう。
イメージを絵や画像にする
カット割りが決まったら、その情報をもとに各シーンのイメージを絵や画像で表現します。情報を正確に伝えるために、シンプルで明確な表現を心がけましょう。
枠は視聴者の視点を想定し、完成後の構図に基づいて描きましょう。
テロップなどを配置する際は、視認性を確保するため、登場人物やキャラクターに重ならないように配置します。
セリフや絵の説明を文章で書く
絵を描いた後に行うのは、補足説明やセリフ、ナレーションなどの文字情報を記載します。登場人物やキャラクターの動きを指示する記載をト書きといいます。
効果音や構図、ト書きなどを具体的に記載することでイラストを描写しやすくなり、効率的な作業が可能です。
セリフやナレーションは時間を図って記載する
セリフやナレーションがある場合は、絵コンテを作成する時点で記載しますが、この際は時間を計って書き込みます。
黙読と声に出して音読するときでは、速度が変化するので、必ず音読しながら時間を測定しましょう。
時間の記載があれば情報共有が容易になると同時に、調整もスムーズに行うことができます。
絵コンテ自体は難しい作業ではありませんが、より伝わりやすい動画を作成するためには企画力や構成力など、スキルが求められます。
もし自社の制作に不安があり、より効果的な動画制作を行いたいときは制作会社へ依頼するのも一つの手段です。
Funusualでは、プロフェッショナルな戦略に基づく動画を企画から編集、修正までワンストップで提供しています。
初めて動画制作を依頼する企業にもわかりやすくかつデザイン性の高い提案が評価されています。
無料での絵コンテや見積もりを通じて具体的なイメージとストーリーのご提案が可能なので、お気軽にご相談ください。
アナログとデジタルの絵コンテの違い
絵コンテを作成する方法は、手書きのアナログと描画ソフトなどを使用するデジタルの2種類があります。
アナログは鉛筆などを使用し、手書きならではの温かみや書き手の個性を表現できます。
その一方で、用紙や鉛筆などの画材の準備が必要なうえ、修正や加筆も手作業になるため効率性に欠ける点が課題です。
デジタルは、描画ソフトなどを使用してパソコンやタブレットで作業できます。
デジタルツールでの作業になるため、修正が容易で効率性が高く他者と共有しやすいのがデジタルの利点です。
現在はデジタル制作が主流ですが、デジタルだけを使用すればよいとも限りません。
デジタルは効率や共有性の面で優れていますが、デジタルだけでは表現しきれないイメージも存在します。
一方に限定せず、動画の目的や制作者の好みに応じてアナログとデジタルを使い分けることが重要です。
絵コンテを書くときのポイント
絵コンテの書き方を理解しても、実際に作業しようとすると具体的にどうすべきか悩むことがあるでしょう。
その際には、作業の要点を事前に把握しておくと柔軟に対応できます。
ここでは、絵コンテの質をあげるために必ず押さえておきたいポイントを解説します。
伝えたいメッセージはシンプルにする
絵コンテを作成する際は、伝えたいメッセージを一つに絞ることが重要です。複数のメッセージを含んでしまうと視聴者が混乱するだけでなく印象に残りにくくなります。
視聴者に動画視聴後のアクションを促すためには、メッセージを印象的な一つに絞ることが効果的です。
複数のチームで共有しやすいように配慮することも重要です。各シーンが何を表すのか、一目でわかるようにシンプルな絵を心がけます。
視聴者にもチームにも、何を表現しているか見やすく伝わりやすい構図と絵を描くことが、高品質な動画作成につながります。
シーンやカットに番号を振る
撮影や編集を円滑に進めるためには、シーンやカットごとに番号を振ることが重要です。
番号を事前に振っておくと、打ち合わせや撮影現場において関係者間の認識共有が容易になります。
また、動画編集者はシーンやカットの番号をもとに素材をつなぐため、番号の記載は不可欠です。
台本は音読して推敲する
絵コンテの台本を推敲するときは、実際に音読して確認しましょう。
黙読では文章の流れを把握しにくく、動画としての印象を正確に想定するのは困難です。
見た目では問題ないように思えても、実際に音読してみると不自然な表現に気付くことがあります。
内容を明確に伝えるためにも端的な表現を意識しましょう。
視聴者は映像と同時に音声を聞くことになるので、通常の会話よりゆっくり読み、聞き取りやすいように工夫することが重要です。
絵コンテを作成するときに不安があったり経験がなかったりすると、書き方やポイントを理解しても実践できないかもしれません。
Funusualはクライアントが抱える課題に寄り添うとともに、企業の特色にあわせた表現を提案しながら、クオリティを担保する体制が整っています。
企画から対応可能なので、絵コンテ含め動画作成を効果的に行いたいときはぜひFunusualに気軽にご相談ください。
絵コンテを書くときの注意点
絵コンテを書く際は、やり方やポイントだけでなく注意点も確認しておきましょう。
動画制作を行う際に、より効率的で共有しやすくするための視点です。動画の品質をあげることにもつながるので、しっかり確認しておきましょう。
絵のクオリティにこだわりすぎない
作画のときに絵のクオリティにはこだわりすぎないことが重要です。絵コンテは絵画作品ではないため、絵の完成度は重視されません。
絵コンテの作成理由は、動画のメッセージや情報を簡潔に伝えることです。絵のクオリティを求めすぎて、目的を見失っては本末転倒です。
また、絵の表現を細かくしすぎるのも適切ではありません。
実際に撮影や編集を行う現場では、予定通りに進まないことがあるので、絵コンテで細部までこだわってしまうと柔軟な対応が困難です。
撮影時にアドリブが入ったり天気の都合で背景が変わったりする可能性があります。
作画をする方によって絵のタッチや雰囲気が異なるため、絵コンテとあわない動きをする場合もあります。
絵コンテはあくまで動画のイメージや指示を伝えるものです。絵にこだわりすぎずに、制作チームが対応しやすいようシンプルな絵で表現することが大切です。
時間軸の管理はしっかり行う
絵コンテを作成する際に、各シーンに割り当てられる時間を正確に管理する必要があります。時間軸を適切に管理すれば、動画全体の尺を効果的に調整できます。
カットごとに秒数を計測することで全体像が明確になり、より作業を効率的に進められるのも利点です。動画の尺が予定を超えた場合は、各カットの時間を見直して調整します。
各カット、シーンの長さが動画の構図やプロジェクトの進行に与える影響を考慮し、バランスよく配分しましょう。
クオリティの高い動画を制作したいなら絵コンテから制作会社に依頼しよう
絵コンテは、動画作成の設計図として、制作者同士の情報共有を円滑にする重要な工程です。
効率的に作業を進めるためには、端的なセリフやナレーションの台本、わかりやすいイラストが求められます。
また、時間や番号、ト書きなどの記載も情報伝達を円滑にするうえで欠かせません。
これらは、動画のメッセージを視聴者に正確に伝えるための工夫でもあります。
絵コンテは、制作者と視聴者双方にとって高品質な動画を目指すために必要不可欠です。
動画作成において大事な役割のある絵コンテを作成するということで、責任重大だと不安を感じている方もいるのではないでしょうか。
より効果的な絵コンテを目指すためには、プロに任せることも大切です。動画構成から演出、視聴者に届く映像設計まで一貫したクオリティを維持できます。
Funusualは専門的な知識とノウハウを有しており、それぞれのニーズに即した動画作成が得意です。
魅力的な動画を作成するだけでなく、ヒアリングを行って動画の目的や期待効果などの把握から、絵コンテの提案に始まり修正対応まで丁寧に実施します。
クオリティが高い動画を作成したい、視聴者に行動を促せるような動画にしたいとお考えのかたは、ぜひ絵コンテ作成からFunusualにご相談ください。