時間をかけてシナリオを練り上げ、映像のイメージを明確にし、撮影プランを組み立てる。動画制作は、広報・マーケティング担当者にとって、時間と労力を費やす難しい作業です。
そんななかで見落としがちなのが、動画の雰囲気やメッセージを大きく左右する、BGMの重要性です。
「BGMなんて、最後に適当につければよいのでは?」「フリー素材で十分でしょう?」
「そもそもBGMって本当に必要?」
そう考えているなら、それは大きな間違いでしょう。BGMは決しておまけではありません。同じ映像でも、BGMがあるかないか、またその選び方次第で印象が一変します。
BGMは動画の完成度や視聴者に与える印象、そして成果にまで直結する、きわめて重要な要素なのです。
この記事では、企業の広報・マーケティング担当者が押さえるべき、動画制作におけるBGMの重要性を中心にまとめました。
さらに、BGMの効果・メリット・選び方・選定のタイミング・法務や費用面での注意点などを徹底的に解説し、実務で使えるBGM素材サイトも紹介します。
最後まで読んでいただければ、BGMが動画の成功を左右する必須要素だと納得していただけるはずです。
動画制作にBGMが重要な理由
動画制作において、BGMは単なる背景音ではありません。BGMは、視聴者の体験や動画が伝えたいメッセージの伝達力を高めるための、強力なツールです。
もしも、企業紹介の動画にBGMが一切なければどうでしょうか?映像は静まり返り、無機質な雰囲気になってしまいます。
そこに、企業の理念やブランドイメージに合った、明るく爽やかなBGMを流したらどうなるでしょう。
視聴者は、そのBGMから「活気のある会社だな」「信頼できそうだな」というようなポジティブな印象を受けるでしょう。
BGMがあるかないかで、視聴者が受け取る印象はまったく違ってきます。
BGMは、映像だけでは伝えきれない感情や雰囲気を補って、動画全体のクオリティを大きく引き上げてくれるのです。
この、映像とBGMの戦略的な設計が成功すれば、動画の広告効果を大きく引き上げる結果になるでしょう。
BGMによって得られる効果
BGMは具体的にどのような効果をもたらすのでしょうか。
ここでは、BGMが動画に与える3つの主要な効果について解説します。
マスキング効果
マスキング効果とは、BGMが環境音・ノイズ・反響・話し声の途切れといった、動画の完成度を下げてしまう雑音を目立たなくする効果です。
特に屋外撮影の動画や、録音状態があまりよくない動画の場合は、この効果に助けられることになります。
BGMを入れることで、気になる小さなノイズが心理的に目立たなくなり、視聴者がより快適に動画を視聴できるようになるからです。
またナレーション中心の動画では、話し声の途切れる隙間の時間を埋める効果で、場がもつようになります。
イメージ誘導効果
BGMには、映像が伝えたいイメージを視聴者に自然と想起させる力があります。
爽やかな曲調であれば清涼感や軽快さを、重厚な音楽であれば高級感や信頼感を連想させることが可能です。
視覚情報だけでは伝わりにくいブランドや商品の印象を補強し、動画全体のメッセージをより一貫性のあるものへと導く効果が期待できます。
感情誘導効果
BGMには、視聴者の感情に直接訴えかけ、感動や高揚感を与える効果があります。
例えば商品やサービスの成功事例を紹介する動画で、クライマックスに壮大なオーケストラのBGMを流せば、視聴者は成功の喜びや達成感を共有できるでしょう。
また、音楽は人間の記憶に直結しています。特定の曲を聴いたとき、いつも同じ情景が思い浮かぶという経験は誰にもあるのではないでしょうか。
心に響くBGMは、視聴者の記憶に深く残り、動画の内容を忘れにくくする効果も期待できます。
動画にBGMを入れるメリット
動画にBGMを加えることで、映像そのものの魅力を引き出し、視聴者の体験をより豊かにする効果があります。
単に情報を伝えるだけでなく、感情や雰囲気を演出できるため、ブランディングや商品の印象付けにも大きな役割を果たします。
さらに、BGMは視聴者の集中力を高め、動画全体にリズムと一貫性をもたらす重要な要素です。
以下でBGMのメリットについて詳しく解説します。
視聴者が飽きにくくなる
映像だけの動画は単調で、視聴者が飽きてしまいがちです。特に企業の歴史や理念、製品のスペックなど、文字情報が多い動画は途中で離脱されてしまうリスクがあります。
しかし、BGMを加えることで動画にリズムや動きが生まれ、視聴者は最後まで飽きずに見続けられるようになります。
動画に雰囲気をつけられる
BGMは、動画の雰囲気を決定づける重要な要素です。企業のブランドイメージを表現しながら、同時に視聴者の感情に訴える効果もあります。
楽しさや信頼性といった、映像だけでは伝えきれない価値を届けることにも役立つのです。
記憶に残りやすい
BGMは、特定のシーンやイメージと結びつき、視聴者の記憶に深く刻み込まれることがあります。
ある音楽は特定の風景や物事に結びつき、その音楽に触れるたびに、記憶が呼び起こされることになります。
BGMを効果的に使うことで、動画も視聴者の記憶に残りやすくなり、商品を思い出してもらう効果も生み出せるのです。
情緒的な動画になる
感動的なストーリーや、共感を呼ぶメッセージを伝えたい動画では、BGMが特に重要です。
BGMは、映像だけでは表現しきれない登場人物の心情や、ストーリーの展開を補完して視聴者の感情に働きかけます。
単なる製品説明であっても、視聴者の心理に合わせて、期待感・高揚感・達成感などを演出することも可能です。
動画にまとまりがでる
いくつかのシーンやストーリーを、ひとつのメッセージにつなげるような動画の場合、BGMが動画全体の統一感を出す役割を果たします。
BGMの音量やテンポを調整することで、シーンの切り替わりをスムーズにし、視聴者が動画全体を理解できるようにサポートします。
BGMを選ぶときのポイント
動画に使用するBGMは、ただ耳心地のよい音楽を選べばよいというわけではありません。
企業のブランドイメージや動画の目的に直結する要素であり、選定次第で視聴者の印象や行動にも大きな影響を与えます。
映像やメッセージと調和するBGMを選ぶことで、動画全体の完成度を高め、伝えたい価値を効果的に届けることができます。
動画や企業のイメージにあったBGMを選ぶ
BGMは、企業のブランドイメージを現すものです。ターゲット層や動画の目的を明確にして、それに合ったBGMを選びましょう。
まずは企業の雰囲気に合わせることが重要です。伝統のある老舗企業と、活気あふれるベンチャー企業とでは、伝えたいイメージが異なるのが当然です。
落ち着いたクラシック調・アップテンポで軽快な曲など、BGMに企業の個性を反映させましょう。
また、ターゲットに合わせる必要もあります。若者向けならポップスやロック、高齢層向けならジャズやオーケストラなど、一般的にターゲットが好むジャンルについても考慮しましょう。
そして、動画の目的を明確にしなければなりません。採用活動のための動画なら、ターゲットの期待感や高揚感を高めることが目的です。
製品やサービスを売り込むなら、親しみやすさや信頼感の演出など、目的を達成するためのBGMを選びます。
再生時間を考慮したBGMを選ぶ
動画の長さに合わせたBGMを選ぶことも重要です。企業紹介など、ある程度の長尺動画では、BGMが途中で途切れない長さのものが必要になります。
あるいは、ループ再生できるBGMを選ぶのもひとつの方法です。
動画の冒頭で視聴者の心をつかむ設計にするなら、イントロから盛り上がるようなBGMが効果的です。
また、エンディングに動画の余韻を残すようなBGMを選ぶことで、視聴者への印象を強く残すことができます。
そして、フェードアウトしても不自然でないBGMで効率的で自由度の高い編集作業を目指すなど、BGM選定にも経験値が必要です。
Funusualでは、プロフェッショナルな動画クリエーターが、数多くの高品質な動画制作を実現しています。しかし、ただ単にスタイリッシュな動画を作るだけではありません。
クライアント様が抱える課題に寄り添い、効果的な戦略に基づく動画を企画段階からワンストップで提供しています。
まずは動画の目的や期待する効果、事業内容や製品の特徴をお聞かせください。BGMを含め、具体的なイメージとストーリーをご提案いたします。
動画制作のBGM選定はいつまでにすべきか
「BGMは動画編集の最後につければよい」というのは誤解です。BGMの選定は、動画制作の企画段階から始めた方がよいでしょう。
なぜなら、BGMは動画全体のトーンやテンポを決定づけるものだからです。
企画段階からBGMを選んでおけば、それに合わせて映像の演出や編集のテンポも決まってきます。
逆に、映像が完成した後にBGMを探し始めると、映像に合うBGMがないという事態も起こります。
そうかといって、フィットしないBGMを無理に当てはめてしまうと、動画全体のクオリティを損なうことになりかねません。
BGMは、動画の骨格を形成する要素の一つです。企画の初期段階で、動画のコンセプトや伝えたいメッセージを整理し、それに合うBGMのイメージを固めておくべきでしょう。
そうすれば、テンポに合わせたカメラワークやカット割りも可能になり、スムーズな動画制作で高い完成度を実現できます。
BGM素材を扱うときの注意点
BGMを動画に使う際には、法律や費用に関わる重要な注意点があります。
手に入れた素材を安易に使うと、後で大きなトラブルになる可能性もあるので、以下の点をしっかりと理解しておきましょう。
著作権
音楽には、作曲者や作詞者、演奏者などの著作権が存在します。
著作権は著作物が完成した時点で自動的に発生し、著作者が亡くなって70年が経つと消滅する権利で、特許や商標とは違い登録の必要がないのが特徴です。
CDやダウンロードコンテンツ、サブスクリプションで取得した音源の無断使用は著作権侵害となり、損害賠償を請求される可能性があります。
民事上の賠償としては、不当利得の返還・損害賠償・侵害行為の差し止め・名誉回復などの措置を求められ、刑事告訴された場合は10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金という罰則が課せられます。
しかも法人が著作権を侵害した場合の罰金は、3億円以下という、個人の場合と比べてたいへん厳しいものです。
法人の担当者は、自社が発信するすべてのコンテンツについて、著作権侵害にならないよう十分な注意を払わなければなりません。
では、著作権侵害にならないようにBGMを使用するにはどうしたらよいのでしょうか。
ひとつは、JASRACなどの著作権管理団体が管理する楽曲を利用する方法ですが、適切な手続きと使用料の支払いが必要になります。
また、アーティストに直接連絡して使用許諾を得る方法もありますが、交渉の手間がかかります。
効率よく安全性を重視しBGM素材を使用するには、インターネット上で音楽素材を提供するサイトを利用するのがよいでしょう。
素材サイトには、商用利用が許可された著作権フリーのBGMや効果音が数多く存在します。
なかには無料で利用できるものもあり、これらの素材を適切に選べば、著作権トラブルを防ぐことができるでしょう。
また、動画編集ソフトのなかには、商用に自由に使えるBGM素材が揃っているサービスもあります。
ただし、ソフトウェアに付属しているからといって、無条件で使用できるとはかぎりません。利用規約をよく確認し、適切な使用方法を守るようにしましょう。
フリー素材の扱い
音楽素材サイトを利用する際、フリー素材という言葉には注意が必要です。フリー素材と聞くと、無料で自由に使えるような印象がありますが、実際にはさまざまなルールがあります。
無料で使える素材でも、利用規約の範囲内でのみ使用を許諾するものがほとんどだからです。
商用利用の可否・作者名などクレジット表記の必要性・加工や編集の可否などの利用規約を細かく確認する必要があります。
フリー素材を、自由に使ってよいものだと安易に解釈すると、意図せず著作権侵害となる可能性があるため注意が必要です。
無料のフリー素材は、その利用条件を理解し、遵守した上で使うことが求められます。
費用
著作権フリーや商用利用可能なBGM素材サイトでも、多くの場合、利用にはライセンス料が必要です。
その都度購入が必要な買い切り型や、定額制のサブスクリプション型など、料金体系はサイトによって異なります。
買い切り型は、1本あたりの単価は上がりますが、使用範囲が明確で予算管理がしやすくなります。一方でサブスク型は、大量制作やテスト運用に向いているでしょう。
いずれにせよ、事前に契約内容と費用を確認し、予算内で収まるように計画を立てる必要があります。
広告動画や商品PR動画など、企業活動に直結する用途では、有料素材を利用した方が安心感が高いです。
料金は発生しますが、使用範囲が明確に定められているため、著作権上のリスクを回避できるという大きなメリットがあるからです。
著作権侵害のリスク回避の方法として、オリジナルBGMを制作するという手段もあります。
専門のクリエイターや制作会社に依頼すれば、ほかにはない独自の音源を手に入れることができます。
ただし、外部に制作を依頼する際には、著作権の帰属や使用範囲について契約内容を明確にしておく必要があるでしょう。別の意味で法律面での注意が必要になるということです。
商用利用
企業が動画を制作する場合、その動画は商用利用と見なされます。
素材サイトなどでは商用利用が可能な音楽素材を選ぶことが不可欠です。そのうえで、さらに注意すべき点は、詳細な条件が定められている利用規約の確認です。
一般的な利用条件には、クレジット表記(作者名などの記載)の必要性・加工や編集の可否・利用回数や利用期間の制限・特定用途利用の禁止などがあります。
これらの条件を無視すると、たとえ商用利用可の素材であっても著作権侵害となることがあります。
また、契約時には、ライセンスの種類に関する用語の理解も必要です。
ロイヤリティフリー・著作権フリー・パブリックドメイン・著作隣接権などの言葉は、法令遵守の観点から重要なものといえます。
動画制作では、クリエイティブな戦略のほかに、予算やコンプライアンス面での管理も重要です。
Funusualでは、多くのBtoB企業様に対して、会社紹介映像や製品紹介映像・展示会PR映像・ブランディング動画・採用動画などを手がけています。
無料での絵コンテや見積もりを通じて、具体的なイメージとストーリーをご提案しているため、初めて動画制作を依頼されるクライアント様にも高い評価をいただいております。
ぜひ一度、お考えの動画の目的や期待する効果、お客様の事業内容や製品の特徴などをお聞かせください。
おすすめのBGM素材サイト
インターネット上には、無料または有料で音源を提供する素材配布サイトが多く存在します。
BGMだけでなく、効果音や環境音なども充実しているので、動画制作には大きな助けになるものです。
ただし、使用にあたっては提供元ごとの利用規約を細かく確認し、それを遵守する必要があります。
音源素材サイトは、ジャンルの網羅性が高いものや、少ない曲数ながら特定のジャンルに特化しているものなどさまざまです。
また、著作権に関する取り決めもサイトによって異なるので、それぞれしっかりと確認して利用してください。
「どこでBGMを探せばよいかわからない」という方のために、信頼できるおすすめのBGM素材サイトをいくつかご紹介します。
YouTube Audio Library
YouTubeオーディオライブラリは、YouTubeが公式に公開・運営している、BGMや効果音などを無料でダウンロードできるサービスです。
YouTubeに動画をアップロードする予定なら、まずはこちらをチェックしてみるとよいでしょう。
商用利用可能な素材も多く、クレジットの要否も明記されています。YouTubeにログインしている状態であれば誰でもアクセスできる手軽さが人気です。
Artlist
Artlistは、高品質な楽曲をサブスクリプション形式で提供するBGM素材サイトです。年間契約すれば、サイト内のすべての楽曲を無制限に利用できます。
楽曲のクオリティが高く、ジャンルの幅も充実しているので、動画の雰囲気に合ったBGMを見つけやすいのが特徴です。
Audiostock
オーディオストックは、日本のBGM素材サイトです。
日本のクリエイターが制作した楽曲が豊富にあり、J-POPや和風のBGMを探したいときに特徴が活きてきます。
単品購入とサブスクリプションのどちらも使えて、用途に合わせて使い分けができるのが魅力です。また、国内の細かな使用条件に対応したライセンスが選びやすいのが強みといえるでしょう。
動画制作のBGM選定は慎重に行おう
この記事を読んで、動画のBGMに対する考え方が大きく変わったのではないでしょうか。
BGMの効果には、マスキング・イメージ誘導・感情誘導などがあり、さまざまなメリットを生み出します。
そしてそれは、動画によるアピールやイメージの定着に直結し、動画の完成度や効果を大きく左右することを理解していただけたはずです。
しかし、「重要性はわかったけど、どう選べばよいかわからない」「選定を間違えたらどうしよう」と不安に思っているかもしれません。
たしかに、BGMは動画のメッセージやブランドイメージに深く関わるため、その選定は慎重に行う必要があります。
企業の想いや伝えたいメッセージを正確に取り入れた動画に、ぴったりなBGMを選び出すにはプロの視点が不可欠です。
そして、BGMは選ぶだけでなく、使いこなすことで真価を発揮します。
場面の切り替わりに合わせたBGMの切り替えや、ナレーションやセリフとの音量バランスの調整などは、テクニックと経験値が活きてくる領域です。
さらに動画制作には、著作権などの法務関連の知識や費用の管理などを、企画段階から包括的にチェックする視点が必要となります。
私たちFunusualは、BGMの選定から映像の企画・構成、編集までを一貫してサポートする動画制作会社です。
事業内容や動画の目的を丁寧にヒアリングし、ブランドの魅力を引き出すシナリオ作成や視聴者の感情を動かすBGMの提案まで、適切なプランをご用意します。
「どの音楽を選べばよいかわからない」「動画全体の印象を高めたい」といった具体的なお悩みも解決し、成果につながる動画を実現いたします。
まずは無料相談にて、御社の動画制作に必要なプランや費用感をご提案しますので、ぜひお気軽にFunusualへお問い合わせください。