動画広告を出したものの、購買につながったかどうかわからず、投資の是非の判断に悩んだ経験はないでしょうか。
制作費や運用コストのかかる動画広告だからこそ、その効果を数値化して知りたいと考えるのは自然なことです。
企業のなかで広報を担当している方であれば、社内会議で数値に基づいた報告を求められるケースも少なくありません。
この記事では、動画広告におけるKPI設定方法と、目的ごとの具体的な指標や計測方法について解説します。
これから動画広告を出そうと考えている広報担当者だけでなく、すでに動画広告を出している会社の広報担当者にも参考になる情報を取り扱っているので、参考になれば幸いです。
KPIとは
KPIとはキーパフォーマンスインディケーターの略で、日本語に訳すと重要業績評価指標です。
数値で計測できる定量的な目標で、設定してから継続して計測していくことを前提とした目標です。
具体的にはいつまでに、何の指標をどの数値にするといった目標を指します。
日々の業務を進めていくにあたり、進捗の基本となる指標であることが多く社内で共有されるほか、クライアントとの成果の共有にも使われます。
類似する略称としてはKGIが挙げられるでしょう。重要業績評価指標であるKGIは、最終的な業績に対する目標としています。
KPIは、その目標を達成するために日々の行動に焦点を当てた中間的な指標です。
動画制作におけるKPIは、その広告の視聴回数や完全視聴率が設定されることが多いほか、コンバージョン数などが用いられることもあります。
動画マーケティングにKPIが必要な理由
動画マーケティングは、ユーザーが対象とする商品やサービスを認知する前の段階から消費行動までの幅広い分野をカバーしています。そのため効果を測定しづらいケースが少なくありません。
効果を測定しづらいなかで動画マーケティングを進めると、費用対効果が見えづらいといったデメリットが出てきます。
また適切な検証や改善を行うことができない可能性もあるでしょう。特に動画マーケティングは制作コストがかかるため、感覚的な効果測定では不十分です。
売上や利益で評価しづらいからこそ、KPIによる効果測定が重要になります。
動画広告のKPI設定と効果測定の方法
動画マーケティングを推進するにあたって、KPIを設定して効果を測定するには、どのような基準が適切でしょうか。KPIを設定するポイントと、その測定方法についても紹介します。
まずは動画マーケティングを行うこととなった目的を明確にする必要があります。その目的に合ったKPIを設定し、実際に効果を測定しましょう。
また効果を測定して終わるのでは意味がありません。分析したデータをもとに、改善のための施策につなげましょう。
新しい施策を立てる際には、KPIを再設定して、検証していくことも重要です。以下で具体的に解説します。
目的の明確化
まずはその動画広告がなにを目的として制作されているのかを、社内で再確認する必要があります。
例えばその広告が商品を広く世の中に広めるために制作されたのであれば、購入や問い合わせには直結しなくても目的を達成しているでしょう。
逆に商品を購入してもらうことを目的としているのであれば、動画を見てもらった回数を比較しても、正しく効果を測定できているとはいえません。
KPIを定める前に、何が目的となって動画広告が作成されているかを確認することが重要です。
目的に合ったKPIを設定
動画広告が作成された目的に合ったKPIを設定しましょう。
先ほどの例になぞると、商品を世の中に知ってもらうことが目的であれば、動画の視聴回数やクリック数が指標として適切です。
購入や問い合わせが目的として作られた動画であれば、コンバージョン数や問い合わせ件数を計測すると効果的でしょう。
動画広告のKPIとして設定できる指標は多岐にわたります。回数や時間、その後の行動といった、さまざまな観点があるからです。
ただし、すべてを計測しても効果を正確に把握することはできません。
目的に合った数値をKPIとして定めることで、正確な達成度がわかるだけでなく、数値の進捗が悪い場合には広告内容や導線を改善する施策を打つことにもつながります。
KPIに合うアナリティクスツールで効果測定
KPIを設定したら、あらかじめ期間を決め定期的に計測しましょう。
それぞれの指標を計測するために、必要なツールを用います。事前にどのようなツールで計測するかを確認しておくことも重要です。
YouTube広告の場合にはYouTubeアナリティクスのように、動画サイト側が提供するツールがあります。
また、指標によってはアナリティクスツールの導入が必要な場合もあるため、動画広告を打ち出す前に検討するとよいでしょう。
データ分析をもとに改善
データを計測したら、分析を行いましょう。
継続的に計測している場合は、以前のデータと比較し、改善が必要かを検証します。同じ条件で運用している動画広告が複数ある場合には、広告ごとの数値を比較するケースもあるでしょう。
同じ動画広告を複数の媒体で使用している場合には、媒体ごとで比較することも有効です。
分析した後は必要に応じて改善策を設定し、実行してみることも重要です。改善策を実行したら再度同じ指標を計測し、その効果を確認しましょう。
KPI指標をもとにPDCAサイクルを回すことで、より効果の高い動画広告を運用することが可能です。
動画広告の効果測定で重要なKPI
業種や業態によって何を指標として進捗を測定すべきかが異なります。動画広告の効果を測るうえで適切なKPIを紹介します。
何を指標としてチェックすべきかがわかると、実際の現場でも分析や検証を通じて次のアクションにつなげやすくなるため、確認しておきましょう。
動画広告は視聴者にきちんと届いているかが重要です。またマーケティングの側面からは、実際に購買につながるアクションが起きているかを測ることも欠かせません。
動画が適切に視聴者に届いているかは視聴回数やクリック数から測定します。また動画からアクションにつながっているかを測る数値がコンバージョン数です。具体的に見ていきましょう。
視聴回数
視聴回数とは、動画が何回視聴されたかを示す指標です。この数値を測ることで、動画が幅広い視聴者に届いているかを確認することができます。
一定の条件を満たす状態まで視聴された数を計測しています。
なお、この視聴回数は媒体によってカウントされる条件が異なるため注意しておきましょう。動画全体に対する割合で計測される媒体や、一定の秒数を視聴した場合にカウントされる媒体があります。
またこの視聴回数の定義そのものが変更されるケースもあるでしょう。そのためKPIに視聴回数を含む場合には、定義づけを行い、共有しておくことが重要です。
完全視聴率
完全視聴率は、動画広告が最後まで視聴された割合を示しています。
一定の秒数の視聴でカウントするケースもあり、アナリティクスツールによっても異なることから、事前に定義を確認しておきましょう。
完全視聴率が低い場合には、動画の序盤での訴求力が足りていないことが原因で離脱を起こしているといった問題が考えられます。
クリック数
動画を視聴したうえで、商品の広告をクリックした数を表す指標です。
実際に商品やサービスに興味を持った人数を表しているため、動画の訴求力を知りたい場合のKPIとして設定されることが多いでしょう。
また動画を視聴したなかでクリックという行動に結びついた人数を表す指標がクリック率です。クリック数を視聴回数で割ることで求められます。
クリック数やクリック率が芳しくない場合には、動画の訴求力に問題があるケースが考えられるため、改善のきっかけとできるでしょう。
また企業そのもののイメージアップ動画に商品の広告が結びついているなど関連性が低い場合にもクリック率は下がると想定されます。
コンバージョン数
コンバージョン数は、動画広告をきっかけとした購入数や問い合わせ数など、実際の消費行動につながった数値を表しています。
動画広告の目的が購入に結び付けることである場合に、計測するとよい指標です。
また実際に商品やサービスの広告にたどり着いたなかで、購入に至った割合を表す指標としてコンバージョン率が挙げられます。
コンバージョン数をクリック数で割ることで求められ、広告の質の検証に使われます。
コンバージョン率が低い場合には、動画広告と商品広告の内容にギャップがあり、いったん興味を持ったものの購入につながっていないケースが考えられるでしょう。
動画広告の目的別KPI
動画広告にはさまざまなKPI指標があることを紹介しました。一方でどの指標を重要視すべきかについては、対象とする動画の目的によって異なります。
例えば購買行動を目的とした動画広告であれば、最終的な行動につながっているかを見る指標が重要視されるでしょう。
まだ認知されていない商品やブランドを宣伝するうえでは、認知を目的とした指標に重きを置かねばなりません。
このように動画広告の目的がどのフェーズにあるかをとらえることで、KPIを適切に設定することにつながります。それぞれのフェーズごとに見るべきKPIと、ポイントを紹介します。
認知
動画広告の目的が、商品やサービスを知ってもらうことという場合を解説します。
新商品を発表する場合や、まだまだ市場から知られていない企業が、まず認知獲得を目的に動画を制作する段階です。
この段階では、まずは多くの方の目に触れることが目的となります。そのため継続して測定するべき指標は、再生回数やクリック数を意識するとよいでしょう。
広告の表示回数を表すインプレッションに目を向けることも有効です。
検討
商品やサービス、企業としての認知が取れている場合で、その商品を検討している場合を解説します。
顧客が広告の内容を認知している場合でも、すぐに購入につながるわけではありません。必ず商品やサービスを検討してもらう段階が存在します。
この検討段階では、動画広告を視聴して内容を理解してもらうことが重要です。そのためKPIとして適切な数値は、再生時間や視聴完了数が挙げられます。
これらの数値は動画への興味や関心を計測できることから、認知の次の段階として有効といえるでしょう。
行動
ここでいう行動とは、購入や資料請求、問い合わせといった購入者側の行動を示します。行動段階で重要となるKPIを解説します。
行動を目的とした動画広告の場合には、コンバージョン数やクリック数が指標となるでしょう。
また動画広告そのものの数値だけでなく、実際の資料請求数や購入数、問い合わせ数を計測してみることも有効です。
購入者にアンケートを取る場合には、どの媒体から商品やサービスを知ったかを聞くことも重要です。
動画広告のKPIとして分析活用できるだけではなく、顧客の導線を知るうえでも大切な手段になるでしょう。
動画広告のKPI測定に役立つツール
見るべきKPIとともに、その数値の計測方法を知っておかなければなりません。特に動画広告は、媒体によっても使用するツールが異なります。
ツールごとに得意分野が異なるため、目的や継続的に追跡するKPIに応じて適切なものを選ぶ必要があります。
ツールごとに独自の指標を設定しているケースもあるため、目的に合ったKPIを見つけるきっかけになるかもしれません。
具体的なツールを紹介しますので、今計測しようとしている指標に合わせて参考にするとよいでしょう。
また外部業者に動画制作を委託し、分析や改善施策の推進までの伴走を依頼することも効果的な手法です。
このようなケースでは、外部業者を通じて適切なツールを活用して分析をすることが可能なため、方法の一つとして検討してみるとよいでしょう。
Funusualは、BtoBに特化した動画制作エージェンシーです。クライアント様の悩みに寄り添った提案型の動画制作にこだわっているため、ぜひ一度ご相談ください。
YouTubeアナリティクス
YouTubeアナリティクスは、YouTubeを運営するGoogleが提供している分析ツールです。YouTube動画を媒体とする動画広告の場合には、欠かせないツールといえるでしょう。
動画に対するアクションを分析することが可能です。視聴回数といった動画が目に触れた回数、総再生時間や平均視聴時間といったその動画に対する関心度を測る数値など幅広い観点から分析を行うことができます。
またビッグデータを活用することで、推定される視聴者の年齢層や視聴地域を知ることも可能です。
幅広い観点から数値を計測できるため、KPI分析には欠かせない存在といえるでしょう。
PlayAds
PlayAdsはGMOリサーチ株式会社が提供する分析ツールです。動画広告を消費行動に結び付けたい場合に、より効果を発揮します。
具体的に計測できる数値としては、動画案の段階で複数のバージョンを比較するA/Bテストの機能や、視聴者の心理状態を可視化できる感情取得技術が特徴です。
デメリットとして複雑な数値を計測するため、マーケティングとして活用するためには、情報測定の段階で専門的な知識が求められます。
消費行動に直結させる動画広告を検討している企業にとって、具体的な数値分析を行えるツールとして活躍するでしょう。
Wistia
Wistiaは、アメリカのWistia社が開発・運用しているアナリティクスツールです。
単純な再生回数だけでなく、動画のなかで特に視聴の多いポイントを探ることも可能なため、より細かい訴求ポイントを知ることができるでしょう。
ほかのマーケティングツールとの連携をしやすい点も特徴の一つです。
Wistia単体で分析を行うだけでなく、ほかのマーケティングツールに情報を取り込んで分析できることから、すでにマーケティングツールを活用している場合にも親和性があります。
MIL
MILはMIL株式会社が運営しているサービスです。単純な再生というアクションだけではなく、視聴者がクリックやタップを行うことが前提となるインタラクティブ動画の分析を強みとしています。
インタラクティブ動画では視聴者がクリックなどの動作を通じて選択行動をとるため、意思が明確になるという特徴を備えています。
一方でそのような動画の分析ツールが限られることから、インタラクティブ動画のKPI分析を検討している場合には、MILの活用が効果的でしょう。
動画広告でKPIを設定する際の注意点
KPIを設定する際に、注意すべき点があることをご存知でしょうか。動画広告のKPIに限ったことではありませんが、KPIが形骸化してしまうことはリスクといえるでしょう。
KPIは数値で継続的に追跡していくことが基本です。KPIが形骸化している状態では、分析し改善につなげづらいだけでなく、関係者の間に温度差が生まれる可能性があります。
ここでは動画広告におけるKPIが形骸化する理由と、その対策を解説します。チームで運用していくなかで、用いているKPI指標が浸透するよう工夫することが重要です。
またKPIを活用していくなかでクライアントに効果的な運用をアピールできるチャンスともなるでしょう。社内で浸透する施策を講じることをおすすめします。
また動画制作そのものを外部業者に委託することも有効な手段です。外部業者に動画広告を依頼する場合には、納品後にKPI分析を行ってくれる業者を選ぶようにしましょう。
外部業者とKPIに基づいたPDCAを回すことで、目的の達成に近づけやすくなります。
Funusualでは、クライアント様のニーズに応じた動画を戦略的に制作しています。IT・製造業・建設業・工業・金融・不動産業など、クライアントの業種が多岐にわたる点も特徴です。
商品やサービスの購買やイベントの集客といった結果に結び付けたい広報担当者の方は、ぜひ一度ご相談ください。
KPIは安易に変更しない
KPIは継続して計測することで、より精緻な分析につなげることができます。
そのため一度設定したKPI指標は、数値が思わしくない場合でも、安易な変更は避けるべきです。
またKPI指標が頻繁に変わってしまうと、継続して施策を打っている広報担当者のモチベーションの低下を招くケースもあります。
結局どの指標を追いかければよいかわからないとなると、KPI分析そのものが形骸化することもあるでしょう。
一度決めたKPIは長期で運用し、出てきた数値をもとにした施策を改善していくことに意識を向けることをおすすめします。
目的やKPIを初期段階で共有する
動画広告の目的や、なぜその数値をKPI指標として定めているのかをチームで共有しておくことも重要です。
共通の目的意識を持つことで、計測した指標の根本的な意味を理解することができます。
定期的にアナリティクスを確認する
アナリティクスツールのチェックは定期的に行うとよいでしょう。定期的に計測することで指標としての比較を行いやすくなるほか、次の施策を打ちやすくなる点もメリットです。
動画広告には制作費や運用コストがかかることから、効果に改善の見られない動画広告に対しての打ち切りの判断を下すことも少なくありません。
このような重要な判断をスムーズに行うためにも、KPI指標をこまめにチェックしておくことをおすすめします。
目的に合った効果的な動画広告制作なら
この記事では、動画広告におけるKPIについて紹介しました。重要業績評価指標であるKPIを設定する目的が何かを把握し、その目的に近づけられる指標で継続的に計測を行うことが重要です。
またKPIとして用いる指標や、その計測方法についても紹介しました。一方でKPIはあくまでも結果の計測にすぎません。目的を達成できる動画を作れるかが根本の課題です。
動画広告の設計には、戦略やノウハウがあります。プロに任せてみることも、施策の一つです。
Funusualでは、動画制作に必要な業務をワンストップで対応しています。
ノウハウがない状態からのスタートでも、専任のプロデューサーやディレクターがプロジェクトをリードしているため、安心感をもって動画広告を打つことが可能です。
まずは一度ご相談ください。