広報やマーケティング担当の方のなかには、すでに国内での動画広告にある程度の実績はあるが、海外市場への展開も検討したいと考えている方もいるのではないでしょうか。
しかし、「海外では通用するのか」「どのような配信媒体があるのか」などと海外展開についての基礎知識がないために、一歩前に踏み出せていない状態の方も少なくありません。
現在、動画広告はグローバル需要が高まりつつあり、多言語・多地域向けの動画制作は今後の企業成長に不可欠です。
自社においても、海外市場向けに動画展開を検討するべきタイミングといえるでしょう。
本記事では海外での動画広告の現状を把握し、メリットや成功のポイント、配信先などを丁寧に紹介します。さらに、動画制作の費用感や外注時の注意点も解説します。
海外での動画広告の現状
国内の動画広告市場の成長は実感しているものの、海外の市場動向や広告フォーマットのトレンドまでも把握できている方はそれほど多くないでしょう。
世界の動画広告市場は、数字で見ても急成長していることが読み取れます。2022年時点でデジタル広告費が3,944億ドルにのぼり、前年比が13.7%増となりました。
今後も、デジタル広告市場は拡大を続けると予測されており、日本でも同様の傾向にあります。
欧米での広告消費傾向として、アメリカに着目すると、インターネット広告費は日本の約8倍の17兆4,420億円にのぼります。
続いてアジア圏は、これまで欧米の影響を強く受けると考えられていました。しかし、現在は急速な経済成長を遂げている多くの国々では、可処分所得が上がってきています。
そのため、世界のなかでもアジアの人々の消費市場は大いに注目を集めています。
海外での動画視聴時間は増加傾向にあり、広告付きの動画配信サービスが台頭していることから、ビジネスにおいても積極的に採用されるようになるでしょう。
YouTubeやInstagram、LinkedInなどは、欧米とアジア圏双方で注目を集めているプラットフォームです。
世界的に動画広告はすでにスタンダードです。自社においても海外市場への展開を検討しているなら、早めに取り組む必要があるでしょう。
海外向け動画広告の主な種類
「海外向けの動画制作は何を作ればよいのかわからない」と制作物の方向性に悩んでいませんか?
製品紹介やブランディング、インタビュー動画などは、海外市場で効果的とされる定番フォーマットです。
それぞれ、どのようなシーンで活用されているのかを以下に詳しく解説します。自社の場合に当てはめて、どのフォーマットが適しているのか参考にしてみましょう。
製品紹介の動画
製品紹介の動画は、海外市場に向けて自社の製品やサービスを紹介するのに効果的です。製品の特徴や機能をわかりやすく説明できます。
効果的な製品紹介の動画は購買意欲を高める効果があります。主な活用シーンは、SNS内の広告やWebサイト内の広告です。
海外の消費者が日本の製品やサービスに対して求めることは、安全性やデザイン、機能性などです。
また、製品の紹介だけにとどまらず、同時に商品のストーリーやブランドイメージも伝えます。そうすることで、ブランドへの信頼感が高まり、海外市場での売上拡大に期待できます。
ブランディング動画
ブランディング動画は、自社のブランドイメージを海外の消費者に伝える動画のことを指します。
このタイプの動画では企業の理念や価値観、方向性などを伝える内容にすると共感を呼び、ブランドへの愛着を高めることにもつながります。
海外への消費者にブランドイメージを伝える際の注意点は、その国の文化と価値観を理解して制作することです。
欧米の消費者は、一般的に革新的な技術や個性的なブランドイメージを重視する傾向があります。一方で、アジア圏の消費者は伝統や文化、信頼性を重視する傾向があります。
活用シーンは自社サイトやSNSです。ブランディング動画には企業の理念や文化、ビジョンを盛り込むと効果的です。
製品の開発秘話や社員のインタビュー、顧客のインタビューなどを盛り込むと、具体的に企業の価値観を伝えられる動画になるでしょう。
インタビュー動画
インタビュー動画のメリットは、消費者に自社の製品の信頼感を与えられることです。実際に製品やサービスを利用した方の声を届けることで、信頼性を実感できます。
具体的な製品の魅力やメリットが伝わるだけでなく、消費者の不安や疑問の解消にもなるでしょう。海外の消費者は、実際に商品を購入する前に製品のレビューを参考にしています。
インタビュー動画では、ターゲットとなる市場の文化や言語、価値観なども考慮することが重要です。
インタビュー動画の活用シーンは、海外での認知度を高めたい企業がプロモーションの一環として、観光地や宿泊施設の外国人向けに利用するケースが考えられます。
あるいは、イベントの展示会などでリアルな声として届けたい場合に活用することが可能です。インタビュー動画は、文化や価値観を理解して制作することが重要です。
海外向けの動画広告を制作するメリット
制作の手間やコストを考えると、本当に海外展開に投資すべきか判断に迷うことがあります。しかし、投資すべきさまざまなメリットがあります。
海外市場に展開すると考えられるメリットは以下のとおりです。
- 市場の拡大につながる
- 広告収益が上がる可能性がある
- 海外には競合が少ない可能性がある
これらのメリットを詳しく解説します。自社の予算にあわせる必要はあるものの、投資対効果が見込めるため、前向きに検討する価値があるでしょう。
市場の拡大につながる
海外向けの動画広告を制作すると、市場の拡大につながります。
Forbesによると、世界のソーシャルメディアのユーザー数は49億人(2023年時点)に達したとされており、今後も増加すると予測されています。
デジタルメディア利用者の増加とインターネットの普及に伴い、デジタル広告動画の市場も拡大していくでしょう。
広告収益が上がる可能性がある
広告収益が上がる可能性があることも、海外向けの動画広告を制作するメリットの一つです。特定の市場ではCTRやCVRが高い可能性があります。
マーケティングにおいてはCVRの数値は売上に直結するため、重要な指標となります。
特定の市場といわれる地域は、主にオーストラリアとベトナムです。オーストラリアは安定した基盤のある生活水準の高い先進国の一つで、デジタルインフラも整備されています。
オーストラリアは人口の増加に加えてSNSユーザーも全人口の77.9%に達しているため、マーケティングを効果的に使用すれば収益が上がる可能性が期待できます。
ベトナムも人口増加が進んでおり、インターネットやSNSの利用が急速に普及しているため、今後の成長が期待できる潜在的な海外市場です。
海外には競合が少ない可能性がある
海外向けの動画広告を制作するメリットとして、海外には競合が少ない可能性がある点があげられます。そのため、新たな収益源獲得と認知拡大が期待できます。
近年、インターネットが使える国や地域は増加傾向です。これまでインターネットがつながっていなかった潜在的な消費者にも、ブランドを認知させることができるでしょう。
未開拓の市場を開拓することで、日本と比較すると広告の競合が少ない可能性があります。
海外に向けた動画広告の配信場所
日本で主に企業が使用している配信場所としては、YouTubeやInstagramが思い浮かぶ方も少なくないでしょう。では、海外ではどの様な配信場所を使用すればよいのでしょうか。
海外では国やターゲット層に応じて、YouTube・Instagram・Linkedin・Weiboなどの媒体が使われています。
ここでは、それぞれの特徴や強みを具体的に解説します。国ごとの市場特性に応じた適切な媒体を選定し、スムーズに出稿できるように準備を進めましょう。
YouTube
アメリカの企業で、世界中でもユーザーが約20億人という巨大動画共有プラットフォームです。
視聴者層は若年層が中心ではありますが、年代や性別、地域を問わず検索キーワードや関連動画で広告の配信先を狙えるメリットがあります。
マーケティングを海外市場で展開したいと考えている企業はぜひ取り入れたい媒体です。
視聴者は、YouTube動画で目にしたものを購入する可能性が高く、新しい商品をYouTubeから発見することも少なくありません。
動画広告だけでなく、自社コンテンツの運用を行えば認知拡大の効果も期待できます。
Instagramは、写真や動画が中心のSNSであり、世界中で広く利用されているインフルエンサーマーケティングにおいて注目度の高い媒体です。
InstagramはBtoCに向いている媒体です。広告を配信するメリットは十分にあります。
投稿やリール動画、ストーリーズ(配信から24時間が経過すると消えてしまうコンテンツ)などを利用して企業や製品・サービスの認知度を高めることが可能です。
Instagramの投稿から、自社サイトへの誘導や実店舗への訪問をうながし、商品やサービスの購買行動につなげることができます。
広告の効果を測定する機能もついているため効果を分析しやすい利点があります。
LinkedInは世界200ヶ国以上に約10億人のユーザーがおり、プロフィールを持っている企業は3,000万社以上にのぼります。
特にビジネスツールとして浸透している国はデンマークやUAE、アメリカなどです。
一方、日本ではあまり普及していない媒体であるため競合が少なく、ビジネスツールとして独自の強みを発揮できるチャンスがあります。
アメリカでは、LinkedInはBtoBマーケティングに積極的に活用されています。特に、LinkedInは潜在顧客の発掘に有効です。
Sales Navigatorを利用することにより、営業を効率化することができます。競合他社の研究もできるほか、クライアントや見込み客に紐付いた情報を利用することも可能です。
Weiboは中国版X(旧Twitter)ともいわれる媒体です。中国向けの市場に参入したい企業は注目したい配信場所の一つです。以下のようなさまざまな広告フォーマットが選択できます。
- ディスプレイ広告
- 検索連動型広告
- インフルエンサー広告
- ライブコマース広告
期待する効果は、ブランドの認知力向上や新規顧客の開拓、訪日中国人観光客の誘致などです。ユニクロやPanasonicは、Weiboを活用している代表的な日本の企業です。
海外向け動画広告を制作するときのポイント
海外向け動画広告の制作は、「国内と同じでよいのか」「文化や言語が異なるから難しそう」などの不安を感じる方もいるのではないでしょうか。
制作においては以下のようなポイントがあげられます。
- 多言語対応の動画にする
- 言語がわからなくても内容が理解できる動画にする
- 媒体別ガイドラインや広告ポリシーを確認する
- 初見で惹きつける構成と高い制作クオリティに仕上げる
現地のニーズに対応するための動画設計を、ポイントごとに丁寧に解説します。
文化や言語の壁は存在するものの、ポイントを押さえることで十分海外市場で通用する広告動画の制作が実現できるでしょう。
多言語対応の動画にする
海外市場へ展開を試みる企業にとって、多言語対応の動画を制作することは必要不可欠な要素です。
言葉の壁を超えて、製品・サービスを現地の言語で説明できれば、お互いの信頼構築につながります。英語の字幕を入れることも効果的です。
吹き替えの音声とテキストで理解が深まります。多言語対応の動画制作のメリットは信頼関係の構築だけにとどまりません。
企業の理念や製品・サービスの情報が正確に伝わるため、売上の向上にもつながる可能性があります。
言語がわからなくても内容を理解できる動画にする
海外市場では言葉が障壁となることも少なくありません。そのため、動画の内容を、言語がわからなくても理解できるように制作することがポイントです。
言語に依存しないストーリー展開に仕上げたり、表情や動作で言葉がなくても伝わったりする内容にできます。
配信媒体によっては海外の動画広告に関するポリシーを確認する必要がある
海外で動画広告を配信するときは注意すべきポイントがあります。
日本では動画広告を出稿しても問題にならないケースが、海外では不可となる場合があります。
例えばGoogle広告のポリシーでは医薬品やヘルスケア、ギャンブルなどのジャンルの商品が地域によって、一切できない場合があるため注意が必要です。
興味を持ってもらえるようクオリティの高い動画を制作する
企業の広告目的で制作する動画は、興味を持ってもらえるようなクオリティに仕上げることが重要です。
一般のユーザーとは差別化して、企業のブランドイメージを高める必要があります。企業について認知していなかったユーザーは動画を見て企業のブランドをイメージします。
クオリティの高い動画を制作することは、企業の市場価値を高めるための重要なポイントです。
Funusualは、BtoB企業向けに特化した動画制作の経験が豊富な動画エージェンシーです。
「海外市場に向けてどのような動画を制作したらよいかわからない」「初めてで何から始めたらよいかわからない」などのお悩みがあるなら、ぜひお気軽にFunusualにご相談ください。
私たちは、企画から編集まで一貫して担当し、高品質な映像制作を通して企業が抱える課題解決に貢献します。
海外向け動画の制作方法と費用相場
制作を進めたいと考えてはいるものの、予算感がわからずに社内決済が難しそうだと感じてしまう方もいるのではないでしょうか。
自社制作と外注のメリット・デメリットを比較しつつ、外注費用の相場と工程ごとの費用感を紹介します。
社内で完結できる範囲と、外注すべき部分を整理して計画を立てることで、海外向け広告動画の制作が現実的に実現可能です。まずは計画立案から始めてみましょう。
自社で制作する
制作工程の流れは以下のとおりです。
- 企画
- 撮影
- 編集
- 翻訳
まずは、企画の段階で動画を制作する目的を明確にすることが重要です。その目的に沿った企画や内容の設計をしていきます。
海外向けの動画制作では、国別に文化や広告のポリシーを別途確認する必要があります。内製化のメリットは、外注コストが抑えられることです。
しかし、社内に動画制作の経験者がいなければ、プロフェッショナルな高品質の動画制作は難しくなるでしょう。
ノウハウや経験がないために制作時間がかかる可能性も高まります。海外向けにターゲットのリサーチや字幕の翻訳、吹き替えなども行う必要があります。
外注する
一方、外注した場合は予算が高額になるのではないかと不安に感じて、一歩前に踏み出せない方も少なくないでしょう。
外注費用の相場は、100,000〜1,000,000円(税込)以上です。工程ごとの費用感を以下にまとめました。
- 企画・編集:100,000〜500,000円(税込)程度
- 撮影:150,000〜3,000,000円(税込)程度
- 翻訳(字幕):1分あたり2,000〜3,000円(税込)程度
- 翻訳(吹き替え):字幕にプラス10,000円(税込)程度
10分の動画を日本語から英語に翻訳した場合の相場は、25,000円(税込)程度です。これはあくまでも目安で、言語や品質によって異なる場合があります。
動画の費用は動画の尺によっても変わりますが、費用を抑えることも可能です。
撮影する場所をスタジオではなく自社で行ったり、ナレーターを自社で手配したりすると費用を抑えられます。
海外向け動画広告の制作を外注するときに制作会社を選ぶポイント
外注する場合は、どのような制作会社に依頼すればよいか基準がわからずに不安を感じる方もいるでしょう。制作会社を選定する際の主なポイントには次のようなものがあります。
- グローバル案件の経験があるか
- 多言語に対応しているか
- 海外マーケティングに関する知識があるか
- 各プラットフォームのガイドラインを遵守しているか
信頼できるパートナーに依頼すれば、海外展開も十分実現が可能です。
Funusualでは、業界ごとのニーズに即した動画制作が得意です。ブランディング動画や製品紹介動画など、豊富な経験と確かな技術を備えるクリエイターが多数在籍しています。
ディレクターやカメラマン、アニメーターなどのスキルを持ち合わせたクリエイターが連携して制作チームを編成します。
幅広い業界のニーズに対応しつつ、価格を抑えた高品質な動画制作が可能です。海外市場でどのような動画広告を制作したらよいかお悩みならぜひFunusualにご相談ください。
グローバル制作の経験があるか
海外市場に展開するためには、グローバル動画制作の経験がある企業を選定することが重要です。
また、現地の情報収集を行うためにもネイティブスピーカーの在籍の有無も確認するとよいでしょう。
海外市場は英語圏だけではないため、ターゲットにしたいと考えている国や地域の言語に対応できるかどうかも選定のポイントです。
マーケティングについての知識があるか
グローバルなコンテンツを制作するためには、海外マーケティング関連の知識がある制作会社を選ぶことが重要です。
マーケティングの知見がある会社に依頼することにより、技術面だけではなく、文化的な背景も理解した動画制作を進めることができます。
海外向けの動画はプラットフォームごとにガイドラインが定められているため、現地の法規制や習慣の理解が求められます。
海外向け動画広告を制作したいなら
海外市場に動画広告を展開したいと考えていても、「どの国や地域に向けるべきか」「どのような表現が現地で受け入れられるのか」「どの媒体を選ぶべきか」といった点で悩み、なかなか一歩を踏み出せない企業は少なくありません。
さらに文化や言語、広告規制など日本とは異なる事情も多いため、企画段階でつまずいてしまうケースもよく見られます。
だからこそ、グローバル動画制作の経験とノウハウを持つ制作会社への相談が重要です。
社内で方向性を検討したうえで、失敗を避けつつ成果を出すための伴走パートナーを選ぶことが、海外展開の成功に直結します。
Funusualでは、IT業・建設業・製造業・工業といった多様な業界知識を持つプランナーが、市場特性・ターゲット層・配信戦略を踏まえた具体的なご提案を行っています。
単なる映像制作にとどまらず、海外ユーザーの行動心理や視聴傾向を踏まえた構成・表現・配信設計まで、ワンストップで支援可能です。
初めての海外動画広告でも、専任のプロデューサーとディレクターが企画から納品までを丁寧にリードいたしますので、「何から始めればよいかわからない」という段階でも安心感を持ってご相談いただけます。
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