オンライン販売や店舗販売とは異なる次世代の販売方法として、ライブコマースへの注目度が高まっています。
企業のEC担当者やマーケティング担当者のなかには、その名前を聞いたことがある方、実際にライブ配信を見たことがある方もいるでしょう。
しかし、実際に自社商品の販売に活用するとなると、どこから手をつけてよいのかわからず困ってしまうかもしれません。また、自社の商品特性や購入者層とマッチするか不安に思う方もいるでしょう。
この記事では、ライブコマースについて成功事例や相性のよい業界を解説していきます。
ECサイトを運用している方や自社商品のオンライン販売を検討している方の参考になれば幸いです。
ライブコマースとは
ライブコマースとは、ライブ配信を通して商品販売を行う販売方法です。
売り手と買い手、双方向のコミュニケーションができ、オンライン販売と店舗販売のメリットを併せ持つ販売方法として注目を集めています。
世界に先駆けてライブコマース事業が普及しているのが中国です。2020年には22,000,000,000,000円規模にまで達し、視聴者数は同年に569,000,000人を記録し、EC利用者の6割がライブコマースを利用しています。
日本でも、ライブ配信文化の盛り上がりや2020年から始まったコロナ禍をきっかけに注目を集めるようになりました。
ライブ配信事業は年々市場規模を拡大しており、2024年には約100,000,000,000円に達する試算もあります。
それに伴い、ライブコマース事業にも注目が集まっており、ユニクロやニトリといった大企業も参入を始めています。
しかし、日本での利用者はまだ少ないのが現状で、利用率は2.3〜4.0%となっています。最も利用率が高いのは30代女性で4.0%でした。
一方で、ライブコマース視聴経験者の半数が購入に到達しています。双方向型のコミュニケーションによって購買意欲の向上が図れるため、新たな顧客獲得やファン層の増加に向けて活用するとよいでしょう。
ライブコマースのタイプ
一口にライブコマースといっても、その方法はさまざまです。プラットフォーム別にSNS型、SaaS型、ECモール型の3種類に大別することができます。
それぞれメリットとデメリットがあるため、特徴をよく理解しておく必要があるでしょう。以下、詳細を解説していきます。
SNS型ライブコマース
SNSのライブ配信機能を使用する方法です。主に使用されるSNSとしては、InstagramやYouTubeが挙げられるでしょう。
各SNSの利用者に対してアプローチできるため、集客しやすく、新規顧客を獲得しやすい点がメリットです。
一方で、SNSによって利用者の属性に偏りがあるため、売りたい商品や顧客の属性にあわせて利用するSNSを使い分ける必要があります。
例えば、Instagramは10〜30代の女性が多く、YouTubeは幅広い年代の方に利用されているものの20〜30代の男女に人気です。
また、配信プラットフォームと購入プラットフォームが分かれてしまうこともデメリットとして挙げられます。
配信を見ても、その場で購入することが難しいため、しっかりと購入導線を設けておくことが成功の鍵となるでしょう。
SaaS型ライブコマース
埋め込み型とも呼ばれ、ライブコマース配信サービスを利用して自社ECサイト内でライブコマースを行う方法です。
17LIVEが提供するHandsUPやBIPROGYが提供するLiveKitなどがあります。それぞれ料金体系やサポート内容が異なるため、比較検討を重ねるとよいでしょう。
SaaS型の大きなメリットは、すべて自社ECサイト上で完結するため購入に誘導しやすい点です。
一方で、自社ECを所有していることが条件となる点と、集客しづらい点がデメリットとして挙げられます。
これからECサイトを立ち上げる方はECサイトの立ち上げとライブコマース配信サービスの導入を同時に行わなければいけません。そのため、導入費用が高額になる可能性があります。
ECモール型ライブコマース
ECモール内で配信を行う方法です。ECモールは、複数の店舗やブランドが出品しているショッピングサイトのことで、Amazonや楽天市場などが挙げられます。
そのなかでも、ECモール型ライブコマースとして展開しているのは、楽天市場の楽天市場ショッピングチャンネルやau PAYマーケットのライブTVなどです。
自社のECサイトを立ち上げずにショップを展開できる点が、大きなメリットとして挙げられます。出店料がかかるものの、ECサイトの立ち上げに比べてコストを大幅に削減することが可能です。
一方で、ECモールの利用者数に依存する点やほかの出店者との競争が激しいことがデメリットとして挙げられます。
ライブコマースの成功事例
ライブコマースの先進国としては中国が挙げられますが、日本でもライブコマースの活用は進みつつあります。
他社の成功事例を知っておくことで、自社でライブコマースを実施する際の参考になるでしょう。
こちらの記事では、ユニクロと資生堂、無印良品をベストプラクティスとして扱い、成功の鍵を解説していきます。
ユニクロ
ユニクロではUNIQLO LIVE STATIONとしてSaaS型のライブコマースを展開しています。
同サービスは2020年から開始され、視聴者は年間1,0000,000人に達し、日本国内にとどまらず24の国と地域で視聴可能です。
UNIQLO LIVE STATIONでは、基本的に販売員が出演し、全国配信だけでなく各店舗ごとにも配信を行っています。
そのため、店舗で購入する感覚で、オンライン上の購入体験が可能です。ライブコマースをきっかけに、販売員に対してファンがつき店舗での購入につながったケースも存在しています。
双方向型のコミュニケーションにより、顧客のファン化に成功した事例といえるでしょう。
資生堂
資生堂は、積極的にライブコマースに取り組んでおり、2020年から三越伊勢丹のECサイトであるmeeco上でECモール型ライブコマースを行っていました。
その後、2024年からFind Beauty LIVEとしてSaaS型のライブコマースを展開しています。
現役パーソナルビューティーパートナーが出演し、メイクを実演することで、商品の使用感や使用後のイメージをわかりやすく伝えることが可能です。視聴者のお悩みに回答したり、メイク方法のアドバイスをしたりと、双方向型のコミュニケーションを十分に活用しています。
また、ライブコマース視聴後に商品を購入した方向けに次回以降の購入で使用できるクーポンを配布しており、次の視聴や購入につながる工夫も行っています。
ライブ配信の手法だけでなく、顧客の属性や商品の特性をうまく利用した事例といえるでしょう。
無印良品
無印良品ではMUJI LIVEとして、SaaS型のライブコマースを展開しています。
店舗から配信を行っている点が特徴です。また、Instagram上でもSNS型のライブコマースを行っています。
MUJI LIVEでは、ライブ配信を視聴しながら商品を購入することが可能です。アーカイブ配信でも配信内のハイライト商品を確認できるなど、視聴後の購入しやすさにも工夫が見られます。
また、商品の紹介だけでなくインテリアに関するアドバイスやTipsも紹介しており、気軽に視聴しやすい点が特徴です。
ライブコマースと相性のよい業界
ライブコマースはどのような商品でも紹介することができますが、特に相性のよい業界や商品があります。
購入者が「実物を見てから買いたい」と感じるアパレルやコスメ、インテリアなどは相性がよいでしょう。
ほかにも相性がよい業界や商品は以下のとおりです。
- アパレル
- コスメや健康食品
- 家電
- インテリア
- フィットネス用品
もちろん、上記以外の業界や商品でも、ライブコマース上で販売することは可能です。その場合は、視聴者がどのような情報を求めているのか、購入に際してネックになる部分はどこかを考えるとよいでしょう。
アパレル
アパレルはライブコマースと特に相性がよいといえるでしょう。ECサイト上では確認しきれない生地の質感や色合いを、ライブコマース上では確認することができます。
また、配信者が実際に着用することで、サイズ感も確認することが可能です。
オンライン上で服を購入する際に、サイズに不安を感じる方は92%で生地感に不安を感じる方は89%、色味に不安を感じる方は78%となっています。また、48%は実際に服を見てから購入すると回答しています。
これらの不安をライブコマースで解消することができれば、視聴者の購入意欲を高めることができるでしょう。
コスメや健康食品
アパレルと同様に色味や使用感を視聴者に届けることができる点で、ライブコマースはコスメとも相性がよいです。
コスメの使いこなし術や上手なメイク方法など、Tipsを紹介することで集客にもつながります。
また、健康食品も商品担当者の声を視聴者に届けることができる点でライブコマースと相性がよいといえるでしょう。
視聴者側も気になっていたことを商品担当者へ直接質問することができ、不安が解消されるメリットがあります。
家電
家電もライブコマースと相性のよい商品の1つです。店舗では見ることができない製品や機能も、ライブコマースであれば視聴者に提示可能です。
視聴者も懸念点や知りたい情報をリアルタイムで質問し回答をえることができるでしょう。
また、新機能や新しい家電は使用イメージがつきづらいため、ライブコマース上で実演されることで購入につながる可能性があります。
インテリア
アパレルと同様にECサイト上で確認できない生地の質感や色合いを確認でき、購入者に納得感を与えられるため、インテリアもライブコマースとの相性がよいといえるでしょう。
また、インテリアの場合は、サイズ感や色合いを自室で確認することができる点も購入者のメリットです。
実店舗では確認しづらい「自室にあうかどうか不安」という悩みが解消され購入につながる可能性があります。
フィットネス用品
フィットネス商品も家電と同様に実演可能な点で、ライブコマースとの相性がよいです。
双方向型のコミュニケーションを通じて、視聴者の健康に関する不安を解消したり、フィットネスに関する新たな提案も可能です。
ライブコマースのメリット
ライブコマースには複数のメリットがあります。メリットを理解しておくことで、ライブコマースを自社で活用するべきか判断できるでしょう。
逆に、メリットを正しく理解していないと「導入したものの思ったような効果が出ない」「活用しきれなくて配信が負担になる」といった事態を避けることができます。
ここでは、ライブコマースのメリットについて具体的に解説していきます。
視聴者と直接コミュニケーションをとれる
視聴者と配信者が双方向型のコミュニケーションをとれる点が大きなメリットとして挙げられます。
ECサイトでは、商品情報を一方的に伝えることしかできません。しかし、ライブコマースは双方向型のコミュニケーションを通じて、購入者の疑問や不安を解消することができます。
また、配信内容にTipsを加えることで配信者自体にファンがつくこともあるでしょう。SNS型のライブコマースであれば、すでにファンがいる配信者を起用し新たな顧客を獲得することも可能です。
リアルタイムに商品の魅力を伝えられる
ECサイトの商品画像と異なり、リアルな商品の魅力を伝えることもできます。
特に、アパレルやコスメなどの着用感や使用感を伝える手法として適しています。また、家電やフィットネス用品などは、実演を行うことで魅力が高まる商品です。
一方で、試し読みなどで吟味してから購入するような書籍や、近くのスーパーマーケットやコンビニエンスストアで購入できる手軽な食品などはライブコマースでの販売に適さない恐れがあります。
とはいえ、ライブコマースはほとんどの商品を販売可能なため、売り方を工夫することで購入者の興味を引くことはできるでしょう。
リアルタイムの臨場感で購買意欲を高められる
リアルタイムの販売は、視聴者の購買意欲を高める効果が期待できます。
実際に、ライブコマースを視聴した方のおよそ半数が、ライブコマース上で商品を購入したという調査結果もあります。
要因としては、ほかの視聴者が購入しているのを見て「魅力的な商品だ」と感じるほか、ECサイトに比べて限定感があり「ここでしか買えないかもしれない」と感じることが挙げられるでしょう。
必要以上に購入を煽ると逆効果になる可能性もあるものの、集団心理や限定感をうまく利用することで結果に結びつくかもしれません。
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ライブコマースの導入をご検討中のお客様には、マーケティング戦略の立案段階から丁寧にサポートいたします。
「ライブ配信は自社に合っているのか?」「どう活用すれば売上や認知につながるのか?」といった疑問にも、事前ヒアリングを通じてしっかりと分析・ご提案いたします。
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ライブコマースの注意点
たくさんのメリットがあるライブコマースですが、注意点もあります。注意すべき点を抑えないと、逆効果になってしまうこともあるでしょう。特に注意すべきは以下の3点です。
- 商品の選定
- 配信者の選定
- 配信内容
まず、ライブコマースに適した商品を選定する必要があります。ライブコマース向けの商品はアパレルやコスメ、家電など多岐に渡りますが、視聴者が求める情報の提供を意識することが重要です。
また、販売する商品にあった配信者を選定しましょう。社会的な信用度や特定の分野での功績、人柄などを包括的に考慮し選定する必要があります。
もちろん、配信内容も重要です。ライブ配信の特性上、咄嗟の失言や不適切な行動は取り消すことができません。
SNS型のライブコマースは拡散力も強く、意図せず炎上につながる可能性もあるでしょう。会社の信用やイメージに関わるものであると、関係者一同が理解しておく必要があります。
Funusualでは、商品の選定・配信者のアサイン・配信内容の企画立案まで、ライブコマースに必要なすべての工程をワンストップで対応可能です。
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ライブコマースを成功させるためのポイント
ライブコマースを成功させるには、いくつか押さえておくべきポイントがあります。このポイントを押さえておくことで、ライブコマースの効果を大いに発揮できるでしょう。
企業や商品のイメージに合った配信者を起用する
ライブコマースでは、配信者にファンがつくなど、配信者の存在が鍵となります。
自社の社員はもちろん、インフルエンサーを起用する場合も注意が必要です。
販売する商品への知識があるのはもちろん、コンプライアンスを徹底できる人材を起用しましょう。
一方通行ではなく視聴者が参加しやすい作りにする
販売者が一方的に伝えたいことを伝えるだけでは、ライブコマースのメリットが十分に活かせません。
視聴者からの質問に答えるコーナーを用意したり、配信中のコメントを拾ったりと工夫を凝らす必要があります。
そのため、配信中に登壇する方と画面外で配信の流れを管理する方など、複数名の体制で配信を行うとよいでしょう。
視聴者からのコメントに丁寧に対応する
双方向型のコミュニケーションを成功させるためには、視聴者からのコメントに対する対応方法も重要です。たくさんの視聴者からコメントが来ると、一人ひとりへの対応が雑になってしまうかもしれません。
しかし、せっかくのコメントが読み上げられなかったり、適切な回答が得られないと視聴者の心は離れてしまいます。スピード感を保ちつつも、実店舗と同様に丁寧な対応が求められるでしょう。
アーカイブに残しておく
ライブコマースは、リアルタイムで配信を視聴できない方向けにアーカイブを残しておくとよいでしょう。
そうすることで、ライブ配信を見逃してしまった方も後から視聴することができます。
もちろん、リアルタイムではないため、ライブコマース本来の効果が得られない可能性もあります。
しかし、顧客が商品情報を調べるなかで、ライブコマースのアーカイブを見て購入を決意する、次回以降のライブ配信の視聴につながるなどの効果も期待できるでしょう。
また、ライブコマースのアーカイブを適切な長さに編集しSNSにアップすることで、広告としての役割を果たすことがあります。
商品の売り上げアップにつながるライブコマースを制作するなら
ライブコマースは中国をはじめとして世界規模で成長を続けている分野です。
日本ではまだ知名度や利用率は低いものの、大きな成功を収める企業も出現するなど市場規模が拡大しつつあります。
双方向型のコミュニケーションが可能な点やリアルタイムで商品を紹介できる点などメリットも多いライブコマースですが、特性をよく理解することで効果を十分に引き出すことができるでしょう。一方で、ライブ配信であるがゆえの注意点もあります。
ライブコマースの導入にお悩みなら、Funusualにご相談ください!
単なる配信制作にとどまらず、マーケティングパートナーとして丁寧なヒアリングを行い、ターゲット層の明確化から購入につながる配信内容の企画立案、配信後の振り返りや改善提案までトータルで対応可能です。
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