株主総会用の事業報告動画は情報の伝達力が高く、株主の理解促進を目的に導入するケースが少なくありません。
制作の流れは、スケジュールや予算の決定・台本の作成・撮影・動画編集の順に進みます。費用は動画の種類や尺にもよりますが、500,000〜1,800,000円(税込)が相場です。
今回の記事では株主総会に事業報告動画を活用する意義やメリット・制作の流れ・ポイントを解説します。
株主総会で事業報告動画を制作する意義
株主総会用の事業報告動画を制作する意義は次のとおりです。
- 企業の財務状態を視覚的に伝えられる
- 株主の理解を深められる
- 当日の議論を深める資料になる
株主総会用の事業報告動画はIR動画とも呼ばれ、事業の進捗や財務状態を株主にわかりやすく伝える目的で制作するものです。
売上や資産・負債の内訳など文章ではわかりにくい情報を表やグラフを通して可視化します。
IR動画は参加者の理解を促進して、企業と株主間の議論の活発化を促す際にも役立ちます。口頭の説明や紙ベースの資料だけでは十分な情報伝達ができず、誤解を招きかねません。
短い時間で多くの情報を伝えられる動画コンテンツを取り入れれば、株主側の理解が足りない場合でも補填が可能です。
株主総会の事業報告動画の種類
株主総会の事業報告動画には、情報の伝え方によって複数の異なる様式が存在します。
- スライド型
- アニメーション型
- プレゼンテーション型
それぞれの特徴や活用シーンを紹介します。
スライド型
スライドを次々と展開しながら説明を進めるスライド型は、多くの株主総会で採用されている一般的な様式です。
一枚一枚のスライドをつなぎ、進行役が適宜説明を加える構成のため、動画は相対的に容易に制作できます。
この形式では、文章や箇条書きだけでなく、円グラフや棒グラフを活用することで財務状況を視覚的に分かりやすく伝えることが可能です。
しかし、スライドに沿って淡々と説明を続ける形になりやすく、視覚的な動きが少ないため、訴求力や情報の伝わりやすさの面ではやや課題が残ります。
そのため、動画の制作に時間をかけられない企業や、リソースが不足している企業にとっては、手軽に情報をまとめられる形式として有効です。
アニメーション型
アニメーションを取り入れた事業報告動画は、わかりやすい説明が可能な有意義なコンテンツです。
画面の外からイラストが現れたりグラフの色や形が徐々に変化したりする演出は視聴者の理解をサポートします。
時系列に沿って情報をただ並べるだけでは株主の集中力が続かず、説明が頭に残らない可能性があります。
アニメーションを活用すれば、視聴者の注意を引く際に効果的です。
グラフィックを積極的に取り入れ、各要素が自在に移動するインフォグラフィックを用いると、より訴求力の高い動画が完成しやすいでしょう。
プレゼンテーション型
事業の進捗や財務状態を説明する様子を撮影したプレゼンテーション型の動画も、よく採用される形式のひとつです。
この形式では、スライドやパワーポイントの資料を投影しながら説明を行い、視聴者が内容を理解しやすいように工夫します。
特に、代表取締役や執行役員が自らビジョンや理想像を語ることで、株主に強い印象を与えやすくなります。
熱意を込めたメッセージは、企業の成長性や社会的意義を伝える上で効果的であり、これに共感した投資家が投資を決めるケースも少なくありません。
また、企業のトップが登場し、実際に話すことで、視聴者に対して信頼感を与えやすくなります。
権限を持つ人物が動画内で躍動するプレゼンテーション型の動画は、アニメーションと同様に高い訴求効果が期待できます。
株主総会で事業報告動画を使用するメリット
株主総会に事業報告動画を活用するメリットをもう少し深堀りしてみましょう。
伝達力や訴求力の高さ以外にも、不参加の方に配布する資料の用途として価値があります。
また一度作成した動画は何度も使い回しでき、活用シーンは株主総会に限りません。事業報告動画のメリットに関する詳細は次のとおりです。
事業内容や資料をわかりやすく伝えられる
株主総会の動画にはビジネス用語や財務指標が多く含まれ、専門的な内容になりやすい傾向があります。
そのため、動画を活用することで、事業や財務の説明をより分かりやすく伝える効果が期待できます。
特に、収益や経営に関する詳細な解説では、見慣れない横文字やカタカナ語が頻出し、ビジネスや投資に詳しくない方にとって理解しづらい場面もあります。
例えば、「POI」「CRM」などの専門用語は、その意味が伝わらないと、視聴者の理解を妨げる可能性があります。
こうした課題を解決するために、事業報告用の動画ではテロップを活用して補足説明を入れることが可能です。
さらに、知識がない方でも容易に理解できるよう、アニメーションやグラフィックを取り入れ、専門的な内容を視覚的に整理することで、伝わりやすい動画にブラッシュアップできます。
株主総会に参加できなかった方にも伝えられる
何らかの事情で参加できなかった株主に当日の様子を視覚的に伝えられることも、事業報告用動画のメリットです。
株主総会は年に1〜2回しかない重大なイベントとはいえ、案内状を出した全員が参加できるわけではありません。
居住地が遠方にあり物理的に出向くのが難しい方や、出席予定だったものの急な体調不良で出れなくなる方などがいます。
当日の資料は郵送やコーポレートサイト上の埋め込みコンテンツの形式で提供できますが、雰囲気や質疑応答の様子までは伝わりません。
事業報告用の動画には資料としての用途に加え、会場内を撮影した映像を含める方法もあります。
二つの動画を確認すればリアルタイムで参加した方と同様の克明な体験を得られるでしょう。
Webサイトで使用できる
事業報告動画はコーポレートサイトに埋め込むことで、関係者が随時視聴できるようになります。
サイトに訪問すればいつでも視聴できる環境を設けられるのは動画コンテンツの利点です。
一般公開の設定を施すことで24時間、土日祝日問わず、ステークホルダーは株主総会の資料を確認できます。
重要な内部資料を世間に公開する行為に抵抗があるなら、会員向けの限定コンテンツとしての提供も一案です。
プロモーションとして使用できる
事業報告用動画はプロモーションの用途で二次利用できます。
健全な財務体質やコーポレートガバナンスの透明性をアピールして、認知度の向上や新規顧客の獲得に役立てる使い方があります。
また、上場を控えた企業がSNSの公式アカウントで動画をシェアすることで、世間の注目度を高めることも可能です。
さらにプロモーションに限らず、人材採用や社内研修、イベントや営業の資料用途にする方法もあります。
一度作成した動画は自由に使い回しできるため、利便性が高いコンテンツの形態です。
株主総会で事業報告動画を制作するデメリット
事業報告動画を制作するデメリットはコストと時間です。
ほかにも総会ごとに作る手間がかかることや肖像権を侵害するリスクにも注意を向けないといけません。
株主総会用に事業報告動画を作る際の注意点を解説します。
動画制作にコストと時間がかかる
制作の時間・費用と得られる効果を比較して、制作の価値を慎重に検討する必要があります。
企業動画の一般的な制作期間は1〜2ヶ月です。また、制作費用の相場は以下を参考にしましょう。
- スライド型:500,000〜700,000円(税込)
- アニメーション型:1,000,000〜1,500,000円(税込)
- プレゼン型:1,200,000〜1,800,000円(税込)
上記は動画制作会社に依頼した際のスケジュールや費用の目安です。
内製化すればコストを抑えられる可能性はありますが、演出や構成まで手が回らずにクオリティの低下を招くリスクがあります。
動画を視聴する株主は企業活動の成否を占う重要なステークホルダーです。質が低いコンテンツに失望して投資をやめてしまう可能性も十分考えられます。
このため、事業報告動画は無理やり内製化しようとせず、動画制作会社の活用をおすすめします。
株主総会ごとに制作する必要がある
事業報告動画は内容が毎回変わるため、総会ごとに作成しなくてはいけません。
事業説明のように変動が少ないコンテンツなら数年間同じ動画を流用できますが、株主総会バージョンの場合は作り変える負担が発生します。
通常なら総会の回数は年1〜2回です。制作回数が増えればコストの上昇や撮影・編集の手間が増して、企業活動を逼迫させる可能性もあります。
動画の制作時間が短い
事業報告用の動画で課題となるのは制作期間の短さです。
出席者に送付する招集通知の案が完成してから制作に着手する必要があるため、時間的な猶予が多くありません。
事業報告用の動画は決算資料と招集通知を参考資料としてナレーションを起こし、ストーリーの構成を決めます。
決算作業が終了して外部に情報を公開できる状態になって初めて動画の制作に着手できます。
一般的には長くても6週間程度の猶予しかなく、時間がない忙しない環境で編集を進める必要があるのです。
肖像権に注意が必要
事業報告用動画の制作では、従業員や株主の肖像権に注意が必要です。
肖像権とは、写真や動画の無断使用を禁止する権利を指し、人の顔だけでなくキャラクターや看板も対象になります。
自社スタッフであっても、動画に映り込む可能性がある場合は事前の許諾が必要です。
株主も例外ではなく、原則として全員の出演許可を得なければなりません。違反すると、コンテンツの差し止めや損害賠償のリスクが生じる可能性があります。
株主総会用の動画を制作する際は、必ず出演者の了解を取りましょう。
意向確認が難しい場合、制作を中止せざるを得ないこともあります。違法行為が発覚すれば企業のイメージが大きく損なわれ、事業継続にも影響を及ぼしかねません。
リスクを避けるため、動画制作に関わる経営層やマーケティング担当者は、肖像権について十分理解しておくことが大切です。
不安がある場合は、専門の動画制作会社に相談し、適切な対応を学ぶとよいでしょう。
Funusualは、多種多様な企業動画の制作経験を持つプロフェッショナルな動画エージェンシーです。
特に事業報告用動画の制作では、視覚的に分かりやすく、投資家や株主に訴求する映像を戦略的に設計します。
視聴者の理解を深め、企業価値を効果的に伝える高品質な動画制作を実現することが可能です。
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株主総会で使用する事業報告動画制作の流れ
事業報告用動画の制作の流れは企業紹介や製品・サービスの紹介動画と基本は同じながら、異なる部分もあるのが特徴です。株主総会用の動画特有の作業工程を中心に解説します。
制作スケジュールや動画制作予算の決定
企画に3週間、撮影に1週間、編集に2週間といったように、工程ごとに具体的な制作スケジュールを決めましょう。
同時に、制作にかけられる予算の具体的な金額を明確にすることも重要です。
事業報告用動画は、尺やコンテンツの種類によって制作費用が大きく変化するため、予算内で求めるクオリティを実現できるよう、制作会社や料金プランを慎重に選ぶ必要があります。
特に事業報告用動画は、招集通知や資料の作成を待ってから制作に着手することが多く、通常の企業動画よりも制作期間が短くなりがちです。
スケジュールの遅延を防ぐためにも、早めの計画と準備が求められます。
台本の作成
スケジュールと予算が決まり次第、動画の構成・種類・演出方法を決定し、台本の作成にとりかかります。
情報のわかりやすい伝達を念頭に置きつつ、魅力的なストーリーテリングで参加者の期待感を煽る工夫が求められます。
とはいえ、映画やドラマと異なり、事業報告用の動画では面白さやユニークな内容に主眼を置く必要はありません。
むしろコンプライアンスや守秘義務を順守し、正確な情報の提供に軸足を置いた方がよいでしょう。
したがって、スライドや資料に数字の記載ミスがないのはもちろん、財務やIR関連の基礎的な知識も備える必要があります。
撮影や動画編集
素材を準備した後、プレゼンテーションが必要であれば撮影を行い、アニメーションやスライド形式の場合は編集作業に進みます。
ただし、動画制作のもととなる招集通知のドラフトは完全に確定していない場合が多いため、修正や再編集を前提としたスケジュール管理が必要です。
スムーズに調整できるよう、余裕を持った計画を立て、臨機応変に手直しを加えられる体制を構築しましょう。
また、株主総会のリハーサル時には仮の動画コンテンツが必要になります。
本番に間に合わせるだけでなく、未確定のバージョンをいつまでに準備すべきかを事前に確認しておくことが重要です。
事業報告用動画の制作スタッフには、迅速な対応が求められるため、チャットツールを活用して円滑な連絡体制を整え、修正や再編集にいつでも対応できる環境を整備しましょう。
Funusualは、BtoB企業の動画制作に特化し、豊富な経験があるプロフェッショナルチームです。
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株主総会で使用する事業報告動画を作成するときのポイント
株主総会用の動画のポイントは信頼性です。
わかりやすい内容やグラフ・アニメーションの活用以外にも、コンプライアンスや法律に反しない健全なコンテンツを作る必要があります。
わかりやすい内容を心がける
表やインフォグラフィックを多用するわかりやすい伝え方を意識しましょう。
株主総会用の動画は決算や事業の進捗など複雑な内容の伝達が主たる目的です。
明確な訴求軸を設定してセクションごとに順序立てて並べることで視聴者の理解促進につながります。
数値データや指標にとどまらず、必要に応じて導入事例や戦略などの関連情報を惜しみなく伝えることも重要です。
株主総会は課題感の共有やネガティブな事象を払拭するために行った対策の効果を伝える場でもあります。
株主が疑問を抱かないためにも課題や問題はできる限り明らかにし、背景や原因のリサーチ結果も合わせて伝えましょう。
映像だけでなくグラフやアニメーションを活用する
グラフやアニメーションを積極的に取り入れて、視聴者を飽きさせない工夫を施す必要があります。
事業説明動画は長尺になりやすく、淡々とした説明が続くと株主の集中力が途切れる可能性があるためです。
出席者が途中で離脱するシチュエーションは考えられませんが、オンライン参加や不参加の方が後日コンテンツを閲覧する状況下では視聴を止めるケースが想定されます。
時系列に沿ってグラフを変えたりオブジェクトを動かしたりする以外にも、映像にメリハリをつける工夫が必要です。
例えば、カメラアングルを変える、話者に焦点を当ててズームするという演出が考えられます。
ただスライドを移す単調な構成は極力避け、要所要所で変化をもたして最後まで視聴者の興味を惹き付け続けましょう。
信頼できる動画にする
視聴者の株主が開示内容に納得して投資を続ける価値があると思えるような、信頼できる動画を作る必要があります。
- 専門用語を使う際は注釈を入れ、知識がなくても理解できる内容にする
- 数値や指標の誤記入がない
- 数値が悪い指標やデータも積極的に開示する
- ブランドイメージと統一がとれた動画を作る
専門的な用語が多数登場する理解に苦しむ動画では「視聴者のことを考えていない」と反感を買う可能性があります。
また、開示データに不正確で適当な記載があると、企業に対する信頼性の低下を招きかねません。
さらに、情報の透明性を重んじるクリーンな企業だとアピールするためにも、数値がよくない指標も恐れず開示した方がよいでしょう。
ブランドイメージと動画の内容に差異が見受けられると視聴者は違和感を抱きます。
色彩やデザインはブランドカラーや企業ロゴと合わせて、アイデンティティや価値観の表現に努めましょう。
株主総会の様子を撮影した動画も作成
これまで紹介してきたのは、主に株主総会や決算説明会の場で事業内容や決算の説明に使用する動画です。しかし事業報告用動画は上記だけではありません。
株主総会の様子を記録した動画を準備して、参加できなかった株主に提供する必要があります。
紙の資料だけでは説明が不十分であり、不参加の株主が事業の進捗や決算状況を正しく理解できない可能性があります。
視覚情報を含む動画コンテンツは当日の様子を十分伝えられるため、当日都合がつかなかった方に後日配布する企業も少なくありません。
リアルタイムで情報を入手できないだけで説明内容は変わらないため、視聴者は参加した方と同様に企業側の説明を深く理解できます。
株主総会で有意義に使用できる事業報告動画を制作したいなら
株主総会の事業報告動画は決算や事業の状態をわかりやすく伝え、株主から信頼を得る効果があります。
総会ごとに異なるコンテンツを準備する負担を考慮しても、制作の価値は十分にあるはずです。
訴求力があり、効果的に情報を伝えられる動画の制作は、経験豊富な制作会社でなければ難しいでしょう。
FunusualはBtoBに特化した動画エージェンシーとして、数多くの企業動画の制作を手がけてきました。
Funusualは、IT・製造業・工業・建設業を中心に、展示会・採用・営業コンテンツ・サービス紹介など、多岐にわたる動画制作の経験があるプロフェッショナルチームです。
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