動画コンテンツの重要性が高まるなか、ユーザーの操作によって展開が変わるインタラクティブ動画に注目が集まっています。
一方的に見るだけの動画とは異なり、視聴者との双方向のやり取りが可能になることでより深い関心や行動を引き出すことができます。
本記事では、初心者でも始められるインタラクティブ動画の作り方を解説します。あわせてメリットや活用シーン、ツール選びのポイントも紹介します。
インタラクティブ動画とは
インタラクティブ動画とは、視聴者が画面上の選択肢やボタンを操作することで展開が変化する動画コンテンツのことです。
選択肢をクリックすると物語が分岐したり商品情報を表示させたりすることができ、従来の一方向の映像とは異なる体験を提供します。
ゲームやアンケートの要素を取り入れることで、視聴者の関与を高められる点が特長です。
近年はマーケティングや教育など幅広い分野で注目されており、誰でも簡単に始められるツールも登場しています。
インタラクティブ動画のメリット
インタラクティブ動画は、視聴者の能動的な参加を促す仕組みによって、従来の動画とは異なる高い効果を発揮します。
ユーザーの関心を引き出しながら情報伝達や体験設計、行動促進を一つのコンテンツで完結できる点が最大の魅力です。
ここでは、代表的な5つのメリットについて具体的に解説します。
エンゲージメントの向上が期待できる
ただ視聴するだけの一方通行の動画とは異なり、インタラクティブ動画は視聴者の選択によって展開が変化します。
視聴者は単なる受け手ではなく、動画の一部に関わる当事者として体験に引き込まれていきます。以下のような設計が可能です。
- 選択式のストーリーで、視聴者の選んだ展開を再生する
- 商品情報を動画内でクリックして確認できる
- クイズやチェックリストで参加意識を高める
とくにZ世代やミレニアル世代のように能動的な体験を求める層との相性が良く、SNSでも高いエンゲージメント率が報告されています。
企業やブランドの認知度が上がる
視聴者が自ら操作しながら情報に触れることで、ブランドや商品への記憶定着が高まります。
また感情をともなう体験は共感や印象に変わり、企業とのポジティブな関係構築にも効果的です。例えば以下のような活用があります。
- ブランドストーリーを選択式で視聴者に体験させる
- 商品の使い方や選び方を、視聴者の属性に合わせて見せ分ける
- イベントやキャンペーンに連動した体験型プロモーションを行う
認知だけでなく記憶に残る広告として機能しやすく、後の購買行動や口コミにも波及する可能性があります。
コンバージョンの増加が期待できる
動画内で直接購買や申し込みといった行動を促す導線を設けることで、離脱のないスムーズなユーザ体験が可能です。
一般的なLPやバナー広告に比べ、直感的に訴求できるため、コンバージョン率の向上が見込めます。以下が具体的な仕掛け例です。
- 商品を選ぶと、その場で購入ページに遷移するリンクが表示される
- 気になったサービスの詳細が、クリック一つで動画内に表示される
- アンケートに答えると、特典や資料請求につながるボタンが出現する
ユーザーが迷わず行動できるように設計することで、広告から実際の成果へと直結しやすくなります。
データの分析がしやすい
インタラクティブ動画はユーザーがどこを視聴したかや順番、滞在時間などの行動データを詳細に取得できる仕組みです。
このデータはマーケティングや商品改善において、非常に重要なインサイトとなります。分析可能な指標には以下のようなものがあります。
- クリック率や選択率
- 離脱ポイントや完了率
- 選ばれたルートごとの視聴傾向
- 行動別に分けたエンゲージメントの違い
たとえば特定の選択肢で離脱が集中していれば、その部分に改善の余地があると判断できます。定性的な印象だけでなく、数値に基づいて具体的な改善を行える点が大きな特長です。
拡散が期待できる
インタラクティブ動画は試してみたくなる仕組みを持つことで、SNSとの親和性が非常に高いコンテンツです。特に診断型やストーリー分岐型の動画は視聴者の自己表現欲を刺激し、共有やコメントを促しやすくなります。以下がシェアされやすい要素の例です。
- 結果が明確に表示される診断型コンテンツ(例:あなたに合う旅プラン診断)
- 他者との違いを楽しめる分岐型ストーリー(例:選択で結末が変わる就活動画)
- ポイントを集めるなどの要素を含んだゲーム型コンテンツ(例:プレゼント獲得型の動画)
このような拡散性の高い仕組みによって、広告費をかけずに認知と集客の両方を広げられる点は、マーケティングの観点でも大きな価値があります。
インタラクティブ動画制作におすすめのツール
インタラクティブ動画を制作するには専用のプラットフォームやツールを活用することで、複雑な設計や編集作業もスムーズに行えます。最近ではノーコードで操作できるものも多く、動画制作の知識がなくても始めやすい環境が整っています。
ここでは初心者にも扱いやすく、機能面でも優れた代表的なツールを紹介します。
Eko(エコー)
インタラクティブ動画のパイオニア的存在で、選択肢によるストーリー分岐やゲーム性のあるコンテンツが得意です。
NetflixやNBCなどの大手メディアでも導入されています。日本語対応はしていませんが、テンプレートが豊富で直感的に操作ができます。
YouTubeのカード機能・終了画面
完全なインタラクティブ動画とは異なりますが、無料で簡易的な分岐や誘導を行いたい場合におすすめです。
動画内に表示されるカードを活用すれば、ほかの動画や外部リンクへの誘導が可能です。予算をかけずにインタラクティブ要素を取り入れたい方に向いています。
ThingLink(シングリンク)
画像や動画にタグを埋め込み、クリックで情報を表示できるツールです。教育や観光、商品紹介などに幅広く使われており視覚的な説明に優れています。
HTMLタグの埋め込みや分析機能も充実しているため、企業利用にも適しています。
Vyond(ビヨンド)+外部ツール
Vyondで制作したアニメーション動画を、別のインタラクティブ対応ツールと組み合わせて活用可能です。ビジュアルで訴求力の高いコンテンツを作りたい場合におすすめです。
Wistia(ウィスティア)
動画マーケティング特化型のプラットフォームで、再生率や視聴行動の分析に強みがあります。
インタラクティブ機能として、フォーム入力やCTAボタンを動画内に設置することも可能です。見込み顧客の獲得や営業支援にもつながります。
初心者向けのインタラクティブ動画の作り方
インタラクティブ動画は特別なスキルや専門知識がなくても、基本的な手順を押さえることで誰でも制作できます。
ただし、視聴者の行動を前提とした設計が求められるため通常の動画制作とは少し異なる視点も必要です。
大切なのは、目的に合った構成を考え視聴者の体験を意識しながら進めることです。ここでは、初心者でも迷わず取り組めるように制作の流れを六つのステップに分けてわかりやすく解説します。
動画制作の目的やターゲットを決める
最初に取り組むべきなのは、動画の目的とターゲットを明確にすることです。目的が曖昧なまま進めてしまうと、構成に一貫性がなくなり成果の測定や改善も難しくなります。
とくにインタラクティブ動画では視聴者の行動を前提とした設計が求められるため、この段階の準備が重要です。以下が考えるべきポイントの例です。
- 認知拡大や商品理解、問い合わせ促進など、目的を具体的に決める
- 年齢層や興味関心に合わせて、伝える相手の人物像を設定する
- 視聴者がどんな行動を取り、どこでゴールに至るかを逆算して構成する
このように、初期設計の質がそのままインタラクティブ要素の完成度にも影響します。
台本を作成する
次に動画全体の構成やセリフ、インタラクションの流れを台本に落とし込みます。分岐がある場合は、それぞれの選択肢によるストーリーの展開も明確に記述しておきましょう。
具体的には以下の点があげられます。
- 起承転結を意識したストーリー設計
- 分岐ポイントごとに視聴者の選択肢を用意する
- 各選択肢が自然な流れでつながるように調整する
台本は動画の設計図となるため、丁寧な作り込みが必要です。
素材を用意する
構成が固まったら、動画で使用する素材を準備します。撮影が必要な場合もあれば、ストック素材やアニメーションを活用するケースもあります。
以下のようなものを準備しましょう。
- 実写映像やアニメーションなどのメイン素材
- 写真、イラストや図表などの補足素材
- 音楽や効果音、ナレーション音声などの音素材
インタラクティブ動画は視覚だけでなく、聴覚的な演出も重要です。
編集をする
素材が揃ったら、動画編集ソフトを使ってタイムラインを組み立てます。この段階ではまだインタラクションを加えず、通常の動画として全体を完成させます。以下が編集時のポイントです。
- 動画の長さは視聴者の集中が切れにくい3~5分が目安
- テロップやアイキャッチを使って視認性を高める
- 分岐先を想定した切り替えタイミングを確保しておく
編集の段階で画面設計を意識しておくと、次のインタラクティブ化がスムーズに可能です。
インタラクティブ化する
編集が終わったら、対応ツールに読み込んでインタラクティブ要素を加えます。ボタンやリンク、クイズなど視聴者の操作を設計し動作を設定していきます。
以下の点が主な設定項目です。
- タップやクリックでジャンプする分岐ポイント
- 特定の場所をクリックしたときのポップアップ表示
- CTAボタンや外部リンクの挿入タイミング
ここでの設計はユーザー体験の要となるため、視認性と操作性を意識して配置しましょう。
テストを行う
完成後は必ずテストを行い意図通りに動作しているか、分岐に不具合がないかを確認します。
複数人でテストすることで、操作のしにくさや改善点が見つかりやすくなります。チェックすべきポイントは以下のとおりです。
- 分岐ごとのルートにエラーがないか
- スマホやPCなど複数デバイスで正常に再生できるか
- 操作説明がわかりやすいかどうか
実際のユーザーに近い視点で確認することで、より完成度の高い動画になります。
とくに初めてインタラクティブ動画を制作する場合には、設計やUIに慣れているプロのサポートがあると心強いです。
Funusualは、ただ「見せる」だけの動画ではなく、視聴者の感情や行動を引き出す「体験」としてのコンテンツづくりを得意としています。
視聴者の感情や行動を設計に落とし込むサポートを軸に、価値ある動画を提供することが可能です。
「よいアイデアはあるけれど、どう形にすればいいかわからない」「ユーザーに届く、選ばれる動画を作りたい」そんな方こそ、まずはFunusualへご相談ください。
インタラクティブ動画の活用シーン
インタラクティブ動画は業種や目的を問わず、さまざまな場面で高い効果を発揮します。
視聴者が自ら選択や操作を行えるため、従来の一方的な情報提供とは異なり理解や体験を深めやすい点が特長です。
また視聴行動のデータを取得できるため、マーケティングや教育現場などでの最適化にも役立ちます。ここでは、インタラクティブ動画が活用されている代表的な5つのシーンを紹介します。
プロモーション
商品やサービスの魅力を伝えるプロモーションでは、視聴者が自ら情報を選んで確認できるインタラクティブ動画が有効です。
視聴者の関心に合わせて内容を最適化できるため、訴求力が高まり記憶にも残りやすくなります。主な活用例は以下のとおりです。
- ターゲット別に製品特徴を切り替えて紹介する
- 使用シーンを選んで、自分に合う使い方を確認できる
- 興味のある項目だけを選択して視聴時間を短縮する
一方的に情報を押しつけるのではなく、視聴者に選ばせることで好感度も高まります。
商談や営業
営業資料の代替として活用することで、商品理解を深めながらスムーズな提案が可能になります。営業担当が同席できないケースでも、動画が自動的に情報を伝える役割を果たします。
以下が主な活用例です。
- 業界ごとの事例紹介を選択式で見せる
- 自社サービスの導入ステップを順に解説する
- 興味のある課題に応じたソリューション提案ができる
営業現場の工数削減だけでなく、商談の質向上にもつながります。
ECサイトへの誘導
動画内に商品ページへの導線を設けることで、視聴から購入までをシームレスにつなげられます。視聴者が気になる商品を選ぶと、そのまま購入ページへ移動できる設計が効果的です。主な活用例です。
- 商品を選ぶと特徴や価格がその場で表示される
- カラーやサイズなどを選択しながら商品を比較できる
- 購入ボタンを動画内に設置してECサイトに直接誘導する
視聴体験と購買行動が直結することで、コンバージョン率の向上が期待できます。
疑似体験
実際に体験するのが難しい商品やサービスでも、インタラクティブ動画を使えばリアルな使用感や雰囲気を伝えることが可能です。
視聴者が能動的に操作することで、より深い理解と納得感を得られます。以下が主な活用例となります。
- 旅行プランを選んで現地の雰囲気を体感する
- マンションや店舗の内覧をバーチャルで再現する
- 商品のカスタマイズをシミュレーション形式で試す
特に高価格帯やサービス型商材との相性がよい活用法です。
採用活動や社内研修
応募者や社員に向けた情報提供にも、インタラクティブ動画は効果的です。
視聴者の職種や興味に応じて内容を変えられるため、理解の深まりと満足度向上が期待できます。以下が主な活用例です。
- 部署や職種ごとの業務紹介を選択形式で紹介する
- 社員インタビュー動画を、興味のあるテーマごとに分けて視聴できる
- ケーススタディ型の研修動画で、選択によって展開が変化する
採用のミスマッチ防止や、研修効果の定着にもつながる活用法です。
インタラクティブ動画制作の費用相場
インタラクティブ動画の制作費用は、誰がどこまで作業を担うかによって大きく異なります。
社内で完結させる内製型と、外部の制作会社に依頼する外注型とでは、コストだけでなく工数や仕上がりにも違いがあります。
ここでは、それぞれの費用や目安と特徴を紹介します。
自社で制作する場合
社内リソースを活用して制作を行う場合、初期投資は比較的少なくて済みます。
ノーコードツールやテンプレートを活用すれば、専門知識がなくても一定レベルのコンテンツを制作できます。費用目安と特徴です。
- ツールの利用料:月額数千〜数万円(サービスによって変動)
- 撮影や編集機材:すでにある場合は追加コスト不要
- 担当者の人件費:企画から実装までを兼任する場合が多い
予算を抑えながらPDCAを回したい企業や、簡易的な社内向け動画から始めたい場合に適しています。
動画制作会社に依頼する場合
高品質な動画を短期間で仕上げたい、もしくは成果をしっかり出したい場合は専門の制作会社に依頼するのが効果的です。
特に分岐構造が複雑なものや、ブランディングを意識した映像表現にはプロの力が必要です。費用目安と特徴は以下のとおりです。
- シンプルな構成(1分〜3分程度):300,000〜500,000円
- 複数の分岐やインタラクションを含む構成:800,000〜1,500,000円以上
「アイデアはあるけれど形にできない」「自社では難しいけれど、しっかり手応えのあるコンテンツを作りたい」そんなときこそ、Funusual にご相談ください。
Funusualは、BtoB企業向けに特化した動画制作会社として、視聴者の行動や選択を取り入れたインタラクティブ動画の企画・設計から制作までを一貫してサポートしています。
まずはお気軽にご相談ください。
インタラクティブ動画を動画制作会社に依頼する流れ
インタラクティブ動画を外部の制作会社に依頼する際は、目的やターゲットの共有から始まり、完成までにいくつかの段階を踏んで進行します。
スムーズに進めるためには、制作会社の得意領域や対応範囲を事前に把握しておくことが重要です。一般的な制作の流れは以下のとおりです。
- 目的やターゲット、活用シーンを共有し、課題やゴールを明確にする。
- 企画と構成案の提案、インタラクティブ要素の設計を含め全体のストーリー構成や演出プランを策定する。
- 撮影・編集:実写・アニメーション問わず、必要に応じた撮影や映像制作を行う。
- インタラクティブ実装(ツールへの読み込み、分岐設定、UI配置などの技術的な処理)を行う。
- 動作テスト・修正対応(分岐やボタンの動作チェック)を行い、実機での最終調整を進める。
- 納品・公開・運用支援を行う。(データ納品だけでなく、運用・改善の相談まで対応する制作会社も存在する)
この流れをしっかり把握しておきましょう。
効果的なインタラクティブ動画を制作するなら
インタラクティブ動画は、視聴者に体験を届けて行動を引き出す強力な手段です。
操作や選択を通じて情報を受け取ることで、理解が深まり記憶にも残りやすくなります。
ただし、インタラクションを加えるだけでは十分とはいえません。視聴者がどこで迷い、どこに興味を持ちどんな行動をとるかを想定した設計が必要です。
企画や構成をはじめ、映像の見せ方や操作の導線まですべてが視聴体験に影響します。
Funusualは、BtoB企業に特化した動画制作チームとして、これまでに多数の企業の課題解決を「映像の力」でサポートしてきました。
IT・製造業・工業・建設業など、専門性の高い業界にも対応できるノウハウと実績を有し、目的に合わせた戦略的な動画設計と多彩な映像表現で成果につながる動画を提供しています。
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