今回は精密機器メーカーの動画事例のうち、実写メインの動画を紹介していきます。
コマーシャルや会社紹介、そして製品PRなど様々な用途で利用されている動画の5本立てです。
これらは精密機器メーカーが動画を利用するうえで主要なものとなります。
それぞれのポイントを踏まえながら解説していきましょう。
1本目は、株式会社HOYAの「KUMORI291」のCM用動画から。
株式会社HOYAは日本の光学精密機器・ガラスメーカーで、眼鏡をかけている方ならお馴染みの企業かもしれません。
ちなみに、同社の社名は、創業地の保谷市(東京都)から来ています。
ご紹介する動画は、くもりにくいメガネレンズのプロダクト、「KUMORI291」を宣伝するためのコマーシャル動画です。
コロナ禍を契機にマスクをする機会が非常に増えてしまいました。
しかし、眼鏡をかけている方にとって悩みの種となっているのが曇りの問題。
コンタクトと眼鏡の併用をしている方にとっては、眼鏡の曇りが理由でコンタクトの脂溶日数がとても増えたというお話しもあります。
さらに、眼鏡オンリーで利用されている方にとっては、レンズの曇りが深刻な問題になっているのではないでしょうか。
そんな問題点に対して、同社ではとてもリズミカルな音楽とオリジナルの歌詞で解決策をCM動画で提案しています。
与えられた時間の短いCM動画では、短い時間でいかに記憶に残せるかがカギです。
多くの人の話題になる、いわゆるバズった面白さは工夫から生まれるものです。
制作者はバズらせることを狙って制作していますが、実際はなかなか難しいものです。
しかし、音楽や歌詞といったオリジナルさを表現し、商品宣伝を含めつつ絶妙なシュールさを生み出せれば、話題に登ることでしょう。
肝心の商品を含めてみた人間の記憶に残ることは間違いありません。
ちなみにこちらのCM動画はイラストベースのアニメバージョン(https://youtu.be/fEP5rwqyEmc)もありますので、あわせてご覧ください。
2本目は 東京計器株式会社の会社紹介動画から。
同社は、東京都大田区に本社を置く精密機器メーカーです。
マリンレーダーやオートパイロットといった船舶港湾機器や油空圧機器、流体機器、防衛・通信機器の開発・製造・販売及び修理といった各製品の川上から川下までの分野を一元的に手掛けています。
ご紹介する動画は同社の企業全体の紹介動画です。
先ほど紹介した多岐にわたる事業分野を一定のパートごとに紹介していく形を取っています。
内容自体はシンプルにまとめつつも、その事業ごとの特色をいかに表現できるかに挑戦している動画といえるでしょう。
BGMの選定にもこだわっており、重厚な音楽を採用することで、同社の力強いイメージや提供する製品群の性格をうまく表しています。
映像面でも、各分野の雰囲気に合わせてドローンを使用した実写動画を用いるなど実写の表現にも様々な試みが行われている動画です。
製品と合成したシーンをつくるなど、分野のパートごとに作り込まれた映像も注目といえるでしょう。
ナレーションだけでなく、視覚でも理解できるように丁寧な文字起こしをした字幕表記も分かりやすさを向上させています。
同社の事業内容やパッション、ビジョンをイメージしやすい形で視聴者に提供している会社紹介動画です。
3本目は、株式会社トプコンの「Total Station GTプロモーションビデオ」動画から。
同社は、日本の光学機器メーカーで、眼科領域の医療機器や各種測量機器等に強みを持つ企業として知られています。
ご紹介する動画は、同社の距離を測る光波測距儀と、角度を測るセオドライトと組み合わせたトータルステーションと呼ばれる計測器の紹介動画です。
モータードライブで駆動する精密機器製品のTotal Station GTが持つ魅力を余すところなく伝えています。
製品紹介映像のポイントの1つに類似製品と何がどう違うかを明確に表現できているかどうかといった点が挙げられます。
その違いについて、動画では分かりやすい表現をするために、動画部分だけでなく、文字情報やフォントで明確にアピールを行っているのが特徴です。
実写部分では、実際の使用映像や製品が動作するスムースさを表現するための動画技術を駆使しており、うまく優位性をアピールしています。
BtoB関連の製品情報となると、情報を受け取る側も業界知識がある方が多いので、動画での表現が簡素になったり省略されたりします。
しかし、よく売れている商品は製品情報の表現にも手を抜くべきではありません。
製品の宣伝には積み重ねが大事であること、多角的なアプローチが必要なものに対してしっかりとカバーできた動画といえるでしょう。
4本目は株式会社マルマエの会社紹介から。
同社は、鹿児島県射水市にある半導体とFPD製造装置に用いられるパーツを製造しています。
真空部品と呼ばれる、真空装置等を構成するために真空中、もしくは一部が真空に面して機能する部品製造に強みを持っている企業です。
同社が手掛けるのは、製造業の裏方ともいえる製造装置の、しかもそれに用いる部品は目立つ事の少ない分野です。
しかし、その一方で求められる精密機械の精度は非常に高く、自社の高い技術力を伝える内容の動画になっています。
序盤はスタッフのインタビューから始まり、社屋や事業所をドローンなど様々な角度から撮影する工夫をしています。
社屋や事業所の全景がわかることや、周囲の建物を絡めることで、自社のサイズも伝えているのが特徴です。
すぐに場面は変わり、自社の部品製造の工程を紹介していきます。実際にどのように部品が作られていくのかをテンポよく紹介している内容です。
CGなどの技術を加えなくとも、いかに精密な作業を行っているかうまく表現できているのではないでしょうか。
場面を切り替えるシーンでは、「真空パーツメーカーとして人々の未来を支える」という力強いメッセージが入ります。
そこから自社の自動化ラインがはじまり、職人的な技術との融合もPRしています。
単に精密な機械が動いているのではなく、マンパワーによっても自社の技術が支えられているということをきちんと表現できているのです。
フィナーレは自社の持続可能な社会への貢献について、医療業界への貢献や自社の環境整備、社会活動などを紹介し終わります。
数分の動画ですが、自社の魅力や取り組みを一気に詰め込みつつ、視聴者を疲れさせないテンポの良さが魅力といえるでしょう。
最後は、紅葉機械工業株式会社の製品「インデックスチャック」から。
同社は、大阪府八尾市にある、工作機械をはじめ、半導体製造装置、射出成型機、FAシステム(物流自動システム)などを手掛ける企業です。
トヨタグループ主要13社に属する大手機械・自動車部品製造会社、ジェイテクトの傘下でもあります。
動画は、研削盤と呼ばれる自動で研磨を行う精密機械のデモ動画です。
自社の製品であるシリコンウェーハ研削盤 DXSG320を実際に動かしながら、自社製品男メリットを紹介しています。
字幕や表を丁寧に追加しながら、シリコンウエーハの製造過程を撮影した動画を流しています。
最後に自社の優位性を簡単にまとめ、製品をアピールして終わるという内容になっているのが特徴です。
動画全体がシンプルな内容で、一見内製化できそうな動画内容です。
しかし、字幕を入れるタイミングやデモの動画のチョイスなどプロないしある程度慣れた方が手掛けている印象があります。
分かりにく工作機械、しかも精密機械としての性格を持った製品をとにかく分かりやすく紹介している動画です。
製造精密機器メーカーの主な動画活用シーンについて紹介します。
精密機器は、その性格からサイズや動作環境が限られているという一面を持ちます。
そのため、安易に営業車でデモ機を持っていったり、サンプルを配布するといった手段が取れません。
そう言ったデメリットを解消できるのがデモ動画です。
実際に自社製品の実写映像による動作シーンを動画にすることで、わかりやすく顧客に製品を紹介できます。
製造精密機器メーカー自身は、BtoB企業がほとんどです。
そのため、テレビコマーシャルなどをしてもターゲットに訴求できるかどうかは未知数な面が多くあります。
こういった事情にも動画は有効な武器になります。
自社の製品群の紹介やどのような事業を行っているのかといったプロモーションを見本市や業界団体の集まりなどで放映したり、メールで動画へのアクセスを促すことで、プロモーション活動ができます。
製造精密機器メーカーは、非常に細かな装置や部品を製造しています。
そのため、マニュアルも複雑なものになることが少なくありません。
一方で、使用側は迅速に、しかもわかりやすく製品や部品の取り扱いを知りたいというニーズがあります。
こういったニーズに合致するのが動画です。
動画であれば、何度も再生して理解を深められるほか、実際のイメージがつきやすく正確に製品を利用できます。
精密機器メーカーは、製造設備の充実も重要ですが、それを扱うスタッフの実力も重要な武器になります。
そう言った意味で、優秀な人材を一人でも多く採用したいという企業も少なくありません。
こういった場面で、同業他社に一歩抜きんでるためには、動画を利用するのが有効です。
自社の理念や会社紹介、事業内容、実際の勤務の様子といった動画を制作することで、求職中の人材が自社を選ぶ決め手となります。
製造精密機器メーカーの主な動画事例について紹介してきました。
実写によって自社の魅力や製品の魅力を紹介し、アニメーションやモーショングラフィックスに頼らない事例は、それらと違った訴求力があります。
実写なので、内製化できるケースも少なくありませんが、シーンの選定や適切なタイミングでの字幕、BGMなどプロだからできる仕事も少なくありません。
もし、製造精密機器メーカーで動画の導入を検討している場合は、動画制作会社に依頼するのも有効な手といえるでしょう。
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