1. BtoB精密機器メーカー動画の紹介

日本の産業の一翼を担い、ありとあらゆる工業製品に関わっている精密機器は、目に見えないところで人々の生活とむずびついています。
その構造や組み込まれている場所だけでなく、BtoBによる事業になることが多い精密機器。
この一般の人々に見えにくいものをいかに見えるように動画で表現しているのか、注目して紹介します。

1-1. 株式会社ディスコ：便利な日常の後ろ側

1本目は、株式会社ディスコの「便利な日常の後ろ側」から。
同社は広島県呉市で創業した、シリコンウェーハー加工機器を手掛けるメーカーです。
近年注目されており、2021年現在世界的な品薄から活躍が期待される同社のCM動画になっています。
主にCS放送の「Discovery Channel」で放映された動画となっています。

動画の特徴は、いきなり逆再生でシーンが進んでいく斬新な内容。
そして、その動画を通じて目に見えない半導体と多様なデバイスとの「つながり」を表現することを目的にしています。
最後は、製品が出来上がる前のシーンへと進んでいき、さらに映像を三分割にする手法に移ります。
このシーンでは単に三分割するのではなく、いずれも「つながり」を持った三分割にしている点がインパクトを感じさせる内容です。
この動画は編集に相当な労力を要求されますが、その分スタイリッシュな動画に仕上げられます。

1-2. 島津製作所：世界に答えを。ー島津製作所、お茶を科学する。

2本目は、島津製作所の「世界に答えを。ー島津製作所、お茶を科学する。」から。
同社は、京都府京都市中京区に本社を置く、精密機器、計測器、医療機器、航空機器を製造する企業です。

動画は一見すると関係がなさそうなお茶と精密機械というテーマで制作されています。
飲料用のCM動画のようなスタートから、徐々に精密機器と繋がりを明確にしていく構成は斬新といえるでしょう。
さらに動画は「なぜ、お茶を飲むと気持ちが落ち着くのか。」その答えに辿りつくために精密機器が必要、という結びに集約されていきます。
動画プランディングにおいて、意表をつくことは視聴時間をのばす効果があります。
そのため、先の展開の予想がつかないもので最終的にあっと思わせることができれば、印象はかなり好感の高いものになるでしょう。

動画の手法は、シーンの巧みな展開。
日本の伝統的な部屋からみえる窓を、茶葉へとつなげ、さらに細かい世界へと誘う、という工夫が凝らされたものとなっています。
視聴者側にちょっとした驚きや、「へぇ。そうなんだ。」と思わせる、動画です。

1-3. 日機装：OVER THE BORDER

3本目は、日機装の「OVER THE BORDER」から。
日機装株式会社は特殊なポンプや航空機用部品、血液透析装置、複合材の製造、販売を行う日本大手工業メーカーです。
これらの業界の中ではトップシェア商品を多数所有しています。

会社紹介動画となっているので、会社がかかわる全ての事業をくまなく動画内に収める必要があります。
そのため、同社の製品だけでなく、製造過程や工場の外観、多くの分野に従事する従業員の紹介など組み込みには工夫が重要です。
この組み込みを重視しつつ、会社として何をアピールしたいのかを明確にするなど要求されるものは少なくありません。

この動画では、機装の使命、事業や製品に対する想いを表現を国内だけに留めず、国境をこえて体現していくという、タイトルにもある「OVER THE BORDER」につなげた1本の筋が通ったものとなっています。

会社紹介動画は精密機器メーカーに限らず、すべての企業において様々な場面で使用されます。
そのため、汎用性の高い動画が求められますが、今回紹介した動画はその要件を満たしているといえるでしょう。

会社が掲げるコンセプトをしっかりと表現した内容になっています。

1-4. 日立ハイテク：ハイテクプロセスをシンプルに

4本目は日立ハイテクの「ハイテクプロセスをシンプルに」から。
同社は、日本のコングロマリット企業である日立の精密機器製造部門を担う企業です。
コア技術「見る・測る・分析する」は、ムダを減らし、生産性を最大化することを目標に掲げ、多彩な精密機器を製造しています。

こちらも日機装同様に会社紹介動画となっています。
企業ビジョンハイテクプロセスをシンプルにという先頭から企業ビジョンを紹介しています。
手法的な面としては、同社の業務の根幹である「見る・測る・分析する」という3つの目的を満たす技術について画面を3分割しています。
これによって一画面で自社の業務をすべて表現機できるのがメリットといえるでしょう。
しかも、そこから派生し9分割という大変な手間をかけています。

場面が変わって製造過程といった技術力、グローバルな営業活動を見せる画面に切り替わります。
そこから派生し、事業領域についてそれぞれシンプルに事業の内容を紹介していく流れです。
加えて、近年の企業使命ともいえるSDGsに関する取り組みを解説し、結びにつながっていきます。

このように非常に多彩な分野で製造を行っている同社をシンプルに紹介しているのがこの動画の特徴といえるでしょう。

1-5. テルモ：Our Technology すべては患者さんと医療現場のために

最後は、テルモ株式会社「Our Technology すべては患者さんと医療現場のために」から。
同社は、東京都渋谷区に本社を置き、医療分野の精密機器メーカーとして国内有数の規模を誇ります。
「医療を通じて社会に貢献する」という企業理念のもと、「Our Technology すべては患者さんと医療現場のために」という会社紹介動画を制作しました。
テルモグループの研究開発や生産技術への取り組みを紹介する内容になっています。

具体的な技術や製品を紹介しつつ、イメージを伝えることやPRを行う内容になっているのが特徴です。
人工血管やカテーテルといった微細な製品の紹介をしつつ、詳細な手仕事で製品が作られていることを紹介しています。
さらに、オンリーワンの技術を新咲かせるべく現場でのノウハウを生かしつつ活動していることも伝えます。

加えて遠心分離技術など、医療機器メーカーに提供しているコア技術の紹介に場面が移っていくという流れです。
全体的に高いレベルでバランスの良い動画になっており、同社の精密機器をPRしつつ、企業使命についても触れているのが特徴といえるでしょう。

2. 改めて知りたいBtoB精密機器メーカーとはどんな企業なのか？

ここまで動画事例を紹介してきましたが、改めてBtoB精密機器メーカーについてどのような企業なのかを解説していきましょう。

2-1. ハイテク産業の縁の下の力持ち

現在、様々な分野で花開くハイテク産業。
これらの産業を支えているのが精密機器です。
なぜなら、この精密機器を組み込んだ様々な装置が豊かな生活を実現しているからです。
つまり、BtoB精密機器メーカーは、ハイテク産業における縁の下の力持ちといえるでしょう。

2-2. 多数の企業・幅広い分野を顧客に

BtoB精密機器メーカーは、一般企業から医療機関、大学、研究機関など、幅広い領域に顧客を持ち、さまざまな分野の産業と密接に関係しています。
そのため、需要は大きく、高度な技術力によって事業を成長させている企業でもあります。
また、海外のBtoC企業の急成長に合わせて、それらの製品を支えるべく海外市場に進出している企業も数多く存在しているのも特徴です。

3. 知っておきたいBtoB精密機器メーカーの代表的な分野を紹介

最後に動画事例の参考として、BtoB精密機器メーカーの代表的な分野を紹介していきましょう。

3-1. 計測機器分野

計測機器分野とは、文字通り様々な対象物を計測する機器を製造する分野です。
計測というと、長さ・体積・重さといったいわゆる度量衡をイメージします。
しかし、産業分野においては、それらに加えて時間的・力学的・熱的・電磁気的・光学的な諸物理量およびその変化を測定しています。
それらの計測をするための機器を製造している分野です。
しかし、基本的に多くの分野で非常に微細な対象を計測するため、求められる精度は非常に高いレベルで求められています。

3-2. 光学機器分野

光学機器は、BtoC分野であればカメラなどが代表的です。
しかし、BtoB精密機器メーカーの場合は、その技術から派生し、計測機器のような装置や科学、医療の分野で利用される観察装置の製造なども行います。

3-3. 分析機器分野

分析機器分野は、「物質の組成、性質、構造、状態等を定性的・定量的に測定する機械・器具又は装置」と定義される製品を製造する分野です。
これらも計測にかかる分野でもありますが、分析分野として独立するほど、多彩な装置が存在します。

もちろん、これら以外にも様々な分野があり、それだけ多彩な分野で活躍しているのがBtoB精密機器メーカーといえるでしょう。

4. まとめ

BtoB精密機器メーカーは、自社の技術で様々な分野の製品を開発しています。
しかし、その性格から、自社の事業内容をPRしにくい分野でもあります。
このような分野であっても映像制作会社に依頼することで、きちんと自社の事業内容を社内外に伝えることができるでしょう。