独創的なキャラクターに自然な動きを与える3Dアニメーションは企業や製品の宣伝に幅広く使用されています。
自社のPRにも活用したいと考えた企業は、制作方法や効果的な動画を作るコツを把握しましょう。
3Dアニメーションにはモデリングやリギング、スキニングなど一般の方にはなじみがない作業工程があります。また自然かつ複雑な動きを実装するには高度な知識や技術が必要です。
今回は3Dアニメーションの制作方法や作成のコツ、ソフトウェアの選び方を解説します。奥行きのある立体的な映像をマーケティングに取り入れたいと考える方に役立つ内容です。
3Dアニメーションとは
3Dアニメーションは3次元の空間に配置したキャラクターに動きを出す技術です。縦軸と横軸しかない平面空間に奥行きを与えて、より現実に近い動作や表情が可能です。
3Dアニメーションはゲームや映画、TVコマーシャルなど多彩な場面で使われ、視聴者にあたかも同じ空間にいるかと錯覚させる没入感のある体験を与えます。
また実写映像とかけ合わせて現実には存在しないシチュエーションに臨場感を出すことも可能です。
映像素材に開始箇所と終了箇所を設定してアニメーションの動きや長さを指定するキーフレーム、キャプチャした現実の動きを3Dモデルに適用するモーションキャプチャなどの技術を使用します。
人々の動きや自然効果を解析するアルゴリズムを取り入れたプロシージャル・アニメーションも一つの手法です。
3Dアニメーションの制作方法
3Dアニメーションの制作を初めて始める方は、まず全体の流れと必要な作業を理解することが大切です。
モデリング、マテリアル、テクスチャといった、なじみのない専門用語の意味を把握しておくと、制作がスムーズに進みます。
3Dアニメーションの制作工程は、以下のような具体的な流れで進められます。
ソフトと教本の用意
3Dアニメーションを作るソフトウェアと教本(マニュアル)を用意しましょう。無料ツールと有料ツールに分かれますが一概にどちらがよいと断言するのは難しいことです。
Blenderをはじめとした無料ソフトウェアでも、ビジネスシーンで使えるクオリティの高い動画ができあがります。
3Dアニメーションツールは多機能な分、使いこなすまでの学習コストが膨れ上がる傾向にあります。基本的には教本の流れに沿って学習を進める方法が無難です。
書店やインターネットのショッピングモールで探せば、初心者向けの教材が簡単に手に入ります。
モデリング
はじめの作業として3D空間内に実体として現れるモデルを作成しましょう。三角形や四角形の形状をしたポリゴンを組み合わせて立体を形成した後、各パーツを合体します。
上記の作業を繰り返してキャラクターの造形をオブジェクトにします。ポリゴンは細かい程複雑でなめらかな曲線を生み出しますが、高い技術や経験が必要です。
作業に不慣れなうちは、難易度の高い作業に無理にチャレンジせず、基本的な構成にとどめることを意識しましょう。
マテリアル
次に光の反射・透過・模様を調整して好みの質感を再現するマテリアルと呼ばれる工程に移ります。モデリングの完了時点では、目の前の3Dモデルは何もない無機質な存在です。
マテリアルを通じて物体に木材やガラス、金属など求める質感を再現して装飾を施します。光の反射や屈折、吸収の度合いを設定する工程をシェーディングといいます。
テクスチャ
テクスチャは3Dモデルに平面の画像を貼り付けて表面のカラーや質感を作り出す工程です。凸凹や光沢を表現することで、実在するかと見まがうリアリティあふれたオブジェクトができあがります。
グラデーションのないべた塗りのテクスチャは簡単な分、表現の幅が限られます。配色のバランスを調整して、光沢や書き込み、シャドウを追加して全体として違和感のない見た目に整えなくてはいけません。
リギング
リギングはリグと呼ばれるタグを設定して、モデルに動きを与える工程です。人間でいう骨格や関節の場所を決める作業だと考えるとわかりやすいでしょう。
キャラクターのリギングでは、スケルトンと呼ばれるパーツを使用します。3Dアニメーション用のソフトウェアはデフォルトに人型のリグが備わっているケースが大半です。
しかし、そのまま適用するとかくつきのある不自然な動きにしかならず、実装上適切ではありません。
キャラクターの特性に応じたなめらかな動作を実現するには、自らスケルトンを設定して細かく調整しなくてはいけません。
スキニング
スキニングとは、スケルトンとキャラクター本体を連結させることで自然に動くよう調整する作業です。
3Dモデルは多角形のポリゴンが何種類も組み合わさって構築し、一つひとつの面は頂点の集合体で形成されています。
スケルトンを動かすと各ポリゴンの頂点が移動して、結果的に面の形状に変化を引き起こします。肘や膝が曲がるプロセスも上記の解説と変わりありません。
スキニングは、スケルトンの動きを関連するパーツに広げていく工程です。リギングで決めた動作を実際にモデルに適用させることで、動きに問題はないか確認する工程とも考えられます。
スキニングには、スケルトンの変化が与える影響度を指定するウェイトと呼ばれる作業も付帯します。
レンダリング
レンダリングは3Dモデルや静止画のデータを動画として書き出す工程です。アニメーションはうまく適用できているか、実際の見え方を確認する手間が欠かせません。
レンダリングの際は解像度やサイズなどデータ化に伴うさまざまな設定が必要です。質感が優れた動きが繊細な3Dモデルはデータ量も大きいため、書き出しに時間がかかります。
作業時間の短縮には高い機能をもつCPUを搭載したハイスペックのパソコンが必要です。
3Dアニメーション作成のコツ
手順を理解しただけで使える3Dアニメーションをすぐ作るのは不可能といっても過言ではありません。
コツを押さえて効率よく学習を進めることで、短時間に必要な技術や知識を習得できます。
3Dアニメーションを制作する際のポイントは次のとおりです。
新しい技術やトレンドを学ぶ
3Dアニメーション業界は新たな技術の登場が盛んな日進月歩の世界です。常に情報収集を怠らず、トレンドをキャッチアップしてスキルの研鑽に励みましょう。
インターネットが高度に発展した現代、ネット検索だけでも費用をかけずに十分な質の情報収集が可能になりました。技術ブログやクリエイターの公式アカウントをフォローして学ぶ方法がおすすめです。
計画を立ててから作成する
プロジェクト全体の制作期間と各工程に割く作業期間を具体的に見積もりましょう。3Dアニメーションの制作はモデリング・テクスチャ・リギング・レンダリングと複数の工程が積み重なって構成されています。
各工程を効率的にこなしてスムーズに制作を進めるには、事前の入念な計画が大切です。
テクスチャは1月の一週目には終わらせる、リギングは2月の末を目途にするという風に進捗状況の目標を設定し、逐一遅れはないか確認しましょう。
アニメーション制作の期間を短縮するには、同時進行できる作業に並行して取り組むことも大切です。
さらに、各工程が終わるごとにレンダリングを実施して、大きな手戻りが発生するリスクを減らす工夫も重要です。
スペックの高いPC環境を作る
アニメーションの制作に伴う負荷にも負けないハイスペックのパソコンを準備しなくてはいけません。3Dモデリングを快適に行うためには、以下の基準を満たす必要があります。
- CPU:IntelのCore i7やi9、AMDのRyzen 7やRyzen 9以上
- メモリ:32GB以上
- GPU:4GB以上のVRAM以上
CPUは複雑な計算やデータ処理を迅速に実施するパソコンの司令塔とも呼べる中核のパーツです。
高性能な製品を使えばモデリングやレンダリングの作業を大幅に短縮できるため、選ぶ際にはこだわりが求められます。メモリは一時的に保存したデータにアクセスする際に必要です。
遅延やかくつきを起こさず快適に作業を行うには、32GB以上の容量をもつパソコンが適しています。
GPUはグラフィック関連の処理を主体的に担うコンポーネントです。大きなテクスチャを無駄なく操作し、レンダリングやモデリングを行うためには4GB以上のVRAMがあると心強いでしょう。
表情や動きを細かく観察しておく
常日頃からキャラクターや人々の表情や動きを観察する癖をつけましょう。3Dアニメーション作品の制作では、現実と比較して違和感がない自然な動作を与える必要があります。
ゼロから映画や専門書、アーカイブサイトなどを使って学習すると時間がかかって仕方ありません。
街中ですれ違う方や日常的に接する方を観察して表情や体の動きを頭に入れることで、表現に詰まったときのアイデアが得られます。
キャラクターの動作や笑顔の作り方が絶妙だと作品の臨場感やリアリティが高まり、視聴者に良好なイメージを形成します。
表情や動きのアニメーションは時間がかかる制作工程の一つです。頭のなかにある記憶を制作に活かせば業務の効率化にも効果を発揮します。
専門のクリエイターに頼ることも検討する
質の高い3Dアニメーションを実装するには専門のクリエイターに頼ると効果的です。彼らは常に厳しい環境のなか、納期とクオリティを担保した作品を世に出し続けています。
さらに、日々映像作品をチェックしたり、ほかのクリエイターの発信を確認したりと感性を磨く努力を欠かしていません。
Funusualは、クリエイターのプラットフォーム「MOUNTAIN」を運営し、3DCGクリエーター・映像ディレクター・ドローンカメラマンなど、高い専門スキルを持つプロフェッショナルクリエイターを提供しています。
プラットフォームで集まった優秀なクリエイターたちとチームを組み、Funusualの強みである企画力とディレクション力を融合させることで、質の高いアニメーションや映像作品を実現します。
3Dアニメーションの制作をお考えの方は、ぜひFunusualにご相談ください。
3Dアニメーションのソフトの選び方
3Dアニメーションソフトは無料・有料のものから初心者・中級者・専門家レベルまで多種多様です。求める機能と合致するツールを選べるか否かが作品の質を分ける重要なポイントです。
3Dアニメーション関連のソフトウェアの選び方を解説します。
自分のレベルに合わせたソフトを選ぶ
初心者の場合、多機能型のソフトウェアを選ぶと使いこなせない可能性があるため、避けた方がよいでしょう。一方で、ある程度作業に慣れた方が基本機能しかないツールを使用すると、物足りなさを感じることがあります。
例えば、完全無料の3DCG合成ソフトウェアであるBlenderは、業界でも広く知られたツールです。しかし、その豊富すぎる機能ゆえに、初心者が取り組むと操作に慣れるだけで精一杯になり、挫折するリスクがあります。
Blenderは、使いこなせばコストパフォーマンスが非常に高いですが、本格的にアニメーション制作を学ぶ意欲がある方以外にはおすすめできません。
一方、有料の3ds Maxは、初心者でも比較的簡単にモデリングやテクスチャの操作を始められるソフトウェアです。
そのため、経験の浅い方でも扱いやすく、アニメーション制作の学習をスムーズに進めることができます。
予算に合ったソフトを選ぶ
クオリティを担保できても、予算を超えてしまうとプロジェクトとして成果が出たとはいえません。動画ソフトウェアの有料プランを契約した場合、年間数十万円の費用が発生します。
無料版よりテンプレートや機能が充実して質が高いアニメーションを作りやすい環境とはいえ、気軽に導入できる料金ではないでしょう。
まったくの初心者は無料ソフトウェアで使い勝手を確かめてから、必要に応じて有料サービスに切り替えるという判断をおすすめします。
仕事やジャンルに特化したソフトを選ぶ
希望のテイストがある場合は専門性が高いソフトウェアを使う選択も一つです。
3Dアニメーション用のツールには、モデリングからレンダリングまですべての工程をまとめてできる統合型のツール以外に特定の用途に特化したタイプもあります。
例えば、テクスチャの表現技法が豊富なソフトウェア、エフェクトのパターンが豊富なソフトウェアがあります。
用途や目的に応じたツールを利用すればアニメーションの質が向上する可能性が高いです。
ただし、特化型のソフトウェアは単体では制作工程のすべてを賄うことはできません。総合型と併用して二つのツールを使いこなす必要があります。
3Dアニメーションソフトの注意点
3Dアニメーションソフトは誰しも使いこなせる優しいものではありません。習熟には高い技術や知識が必要となるほか、学習コストや制作期間の長期化も心配されます。
ここでは、ツールを導入して自社でアニメーションの制作に励む際の注意点を解説します。
高い技術や知識が必要になる
ビジネスシーンで通用するレベルの3DCGアニメーションを自分で作るには、高度な技術と知識が求められます。
質感に優れたテクスチャや、リアルな動きを実現するためのリギングには、専門的なスキルの習得が不可欠です。また、サーフェスモデル、ソリッドモデル、ワイヤーフレームモデルといった専門用語への理解も必要になります。
初心者が実務に耐えうるレベルの作品を作れるようになるまで成長できるかは、その人の努力や学習環境に左右されるでしょう。
専用のソフトウェアや機材がいる
3Dアニメーション専用のソフトウェアや、動作環境となる高スペックのパソコンの用意も欠かせません。有料ツールは先に述べたとおり年間数十万円のコストが発生します。
さらに、アニメーション制作に適したCPUやメモリを備えたパソコンの調達には100,000円程度かかります。
3Dアニメーションの制作には準備すべき物が多く、機材が揃うまで作業に入れない点はデメリットです。
制作時間やコストがかかりやすい
初めての3DCGアニメーション制作では、調べながら実装を進めることが多くなり、結果として制作期間やコストが延びる傾向があります。
書籍やオンライン教材を利用して学習する場合、トレーニングの時間が必要になるため、スケジュールが長期化することが考えられます。
また、人材を専門学校に通わせる場合や、一から制作環境を整える場合は、さらに費用が増加する可能性があるでしょう。
3Dアニメーションを制作した場合の費用
自社制作を行う場合、有料ソフトやパソコンの調達、教材の購入に500,000〜1,000,000円程度の費用が発生します。
一方、動画制作会社やフリーランスに外注する場合、費用相場は2,000,000円以上となることが一般的です。
3Dモデルにリアルな動きを求める場合、精緻なモデリング作業が必要となり、高いクオリティを実現するには平均して2〜3ヶ月以上の制作期間を要します。
これは、ソフトウェアで質感に優れたモデルを構築するためには、細部までこだわった緻密な作業が欠かせないためです。
3Dアニメーションの制作なら動画制作会社に依頼してみる
品質の高い3Dアニメーションの制作を希望する場合は、動画制作会社への依頼を検討することをおすすめします。
記事で紹介したように、自社制作では学習や機材の調達にかかるコストが甚大であり、さらに学習の成果が優れたアニメーションに直結するとは限りません。
多少費用が高額になっても、プロに制作を依頼することで、短期間で満足のいく成果物を得られる可能性が高まります。
制作会社に依頼すれば、専門性と品質が期待できるだけでなく、他社と差別化できるオリジナリティのある作品が完成する可能性も高いです
Funusualでは、企業や製品の特長や強みをしっかりと把握したうえで、アピールポイントを明確にし、他社と差別化できるオリジナリティの高い動画を制作しています。
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3Dアニメーションを制作したいなら
3Dアニメーションの制作は、適切なソフトの選択と基本的な作成プロセスの理解が重要です。
モデリングやアニメーションのコツを押さえ、制作の流れを計画的に進めることで、効果的な作品を生み出せます。
Funusualは、丁寧なヒアリングを通じてお客様のニーズに応じた提案を行う動画制作会社です。事業内容や製品の特長を細部まで把握し、競合リサーチをもとに具体的な戦略を策定します。
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3Dアニメーション制作をご希望の方は、ぜひFunusualにご相談ください。ヒアリングを通じて課題や目的を明確にし、期待できる効果をわかりやすくご説明します。